12月のビキニ
友達が来る、その事で大事な話があったな。
「で、紹介はいいとしてお前初対面になる人が多くなると思うけど大丈夫か?」
「あんまり怖い人は嫌なのですよ」
「それは大丈夫だと思う」
光しか女性が居ないから不安だな。
あいつは妹とか中学の時後輩もたくさん慕われてたから年下とか慣れてるから大丈夫だろう。
雨は来ないし、流亜は誘ってないがどうしよう?
恋と体の成長の遅い同い年として気が合いそうだが、口には出来ねーな。
流亜を誘うか誘わないか迷っているとインターホンが鳴り響いた。
おそらく姉さんだろう。
姉さんを待ちわびるなんて珍しい事だがようやく来てくれて助かった。
恋を居間に残し俺が玄関に赴き、二重ロックを解除した。
ガン。
「あんたどんだけ用心してんのよ……」
チェーンロックが姉さんの侵入を防いだ。
恋の登場と同じ登場の仕方ではないか。
「全く達裄の用心深さには驚かされるわ」
チェーンロックを外した俺にまた呆れながらぶつぶつ文句を言う姉さん。
その文句を言いながらゆっくりと自分のコート、上着と脱ぎだした。
あれ?脱ぐ枚数多くね?
「じゃーん、ビッキニ」
「……」
履いていたスカートまで脱いで現れたビキニの姉さん。
ついに姉は露出狂になってしまったらしい。
もう12月だよ?
「あんたのご希望通りビキニでの再会。そのビキニを着た私の写真集1000円になります」
「え?俺そんな事言ったっけ?」
「何退引いてんだこのやろー、朝の発言思いだせー」
相変わらず忘れた記憶の俺は何を口走ったかわかったもんではないな。
とりあえず1000円で写真集を購入した。
定価1200円となっていたが弟価格で割引してあげるとの事。
優しい姉で俺満足。
服をまた着る姉さんに疑問が出た、同人誌描いたりモデルやってたりと何してる人?
「へっへっへー、この抜群プロモーションの姉最高だぜ!どうせ従姉弟だし結婚してやろ!」
「言ってないし、言わないよー。変なアテレコ入れないで」
「じゃああんたの今の感想言ってみなよ?」
「へっへっへー、この抜群プロモーションの姉最高だぜ!どうせ従姉弟だし結婚してやろ!一生俺の女にする為に調教してやるぜ!」
「言ってるじゃない!しかも一言余計に!」
そんな漫才はどうだって良い。
姉さんと居ると話が進まなくてダメだし、乗ってしまう俺も悪い。
恋も待たせてるし早く話進めないと。
「それでなんの用だ姉さん?」と促すと姉さんは「コホン」と芝居かかった声を上げてから、突然拍手をし始め元気良く大きな声で明るく発言した。
「今日は新しい家族を連れて来ました」
「つ、ついに姉さん婚約出来たんだね」
新しい家族、そう言われてすぐに結婚相手だと辿り着いた。
姉さんの年齢は俺より8歳離れてる。
散々な評価をしている姉だがめでたい事なら俺も祝おう。
俺も拍手をしながら「で相手はどんな人?」と尋ねると嬉しそうに、はしゃいだ声であった。
「なんと年下、超イケメン、スポーツマン、頭脳明晰、シスコン」
「ほうほう」
「その相手の名前は遠野達裄でーす」
「婚約破棄だ」
結局婚約というのは俺の早とちりらしい。
返せ!俺の祝いの拍手返せ!
「で、どこから嘘なんだ?」
「『つ、ついに姉さん婚約出来たんだね』から嘘」
「じゃあ新しい家族ってなんだよ」
むしろ新しい家族から嘘と言ってもらいたかったのだがそこは本当らしい。
どうせペットとかそんな話だろ?
どうせ驚かないよ。
驚いたらなんかの曲で踊ってやる。
「なんと新しい家族というのはまさかの3人の妹!しかも三つ子!」
「なぁ踊るのソーラン節で良い?」
「混乱してる?」
混乱してる。
今日人生で初三つ子に出会い、姉さんの住む如月マンションに案内した。
そんな偶然あるか?
男みたいな奴に文化系みたいな奴に鋭い目の奴のトリオが浮かんできた……。
おい嘘だろ?
「ちょっと車に呼びに行って来るから」
姉さんは玄関のドアから自家用車まで歩いてその彼女らを迎えに行った。
会いたくない、ちょっと恋に協力を頼もう。
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