第15話〜GAME OVERの先
…………。
…………。
『225番、GAME OVER』
…………。
『225番、GAME OVER』
どこからか合成音声のようなアナウンスが聞こえてきて、目が覚めた。
頭がボーッとする。
ここはどこだろう?
…………。
アナウンスは定期的に同じ文言を繰り返している。
『225番、GAME OVER』
225番?
それにGAME OVER?
ズキン…
「……っ」
少しだけ頭が痛い。
辺りを見渡す。
広くはないが、そこそこ余裕のある部屋だ。
壁も床も天井も白い。
扉は1つ。
他には……何もない?
…………。
なんだろう、ここは。
まだ頭の中が霞みがかっている。
思考が鈍い。
どうしようか?
1、頭がクリアになるまで待つ。
2、一度寝てしまおうか。
3、部屋から出る。
…………。
部屋から、出よう。
扉に手をかける。
カチャ…
扉の外には……。
『はっはっは!ようこそ、225番君。良い冒険だったよ』
なん……?
違和感が全身を包む。
¨何もなかった¨。
気づけば扉も無くなっていた。
今出てきたばかりの部屋もない。
壁も床も天井もなくなった。
見渡す限りに遮る¨壁¨も¨天井¨も。
今現在自分自身を支えているはずの¨床¨すらも。
何もない。
理解が及ばない。
何が起こっているんだ⁉︎
…………。
『混乱しているね?』
誰だ!
見渡しても誰もいない。
いや、見渡せているのか。
何もない。
確たる物が何もない。
認識することができない。
脳が悲鳴をあげる。
いや、これは本当に脳が?
自分という存在そのものも認識できなくなってくる。
壁も、床も、天井も、自分自身も。
¨何も存在しない¨。
¨自分¨という存在すらも砂が手のひらから溢れるように無くなって…。
『おっと、やはり魂のみだと脆いなぁ』
リン…
「………ぇ?」
まるで瞬き1つ前までの出来事が夢か何かだったのではないかと思えるほど唐突に、元に戻っていた。
視界がある。
感触がある。
息ができる。
壁も床も天井も存在する。
足元には地面があり、脳みそが情報を処理し、認識することができる。
手はドアノブを握っているし、振り返れば真っ白だが部屋がある。
さっきのはなんだったんだ?
明晰夢?
この場合起きているし、白昼夢か?
「どうだね?これなら落ち着いて話もできよう」
明確な¨声¨が聞こえた。
顔を前に向けると、そこには後ろにあるような真っ白な部屋。
その中心には座り心地の良さそうなソファが置かれている。
無機質な空間にそれだけが違和感を感じるほどに存在感を発している。
¨声¨の主人は……いない?
「ふむ、まだ調整が甘いらしいな。……これでどうだね?」
「っ⁉︎」
今まで確かにソファには誰も座っていなかったはずだ。
しかし気がつけば、そう、気がつけばそこには一人の男が足を組んで座っていた。
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