第5話〜わたしは可愛いすずめの子?
前回までのあらすじ。
家族ができました!
…………………………。
「ぴょ〜?」
「「「「びよ〜?」」」」
わたしが首をかしげながら鳴くと、弟妹たちは鏡写しで首をかしげた。
今度は翼を広げて雄々しく鳴く。
「ぴょ〜!」
「「「「びよ〜!」」」」
すると四羽は真似して雄々しく鳴いた。
続いて首を縮めていじけたように鳴く。
「ぴょ〜…」
「「「「びよ〜…」」」」
ふ〜む。
KA・WA・I・I・YO☆
わたしの真似をする弟妹たちを順番に愛でる、もといモフる。
「ぴ〜よぴよぴよぴよ〜(よ〜しよしよしよし〜♡)」
「「「「びよ〜♡」」」」
(°▽°)(°▽°)(°▽°)(°▽°)∈(°▽°∋)
嬉しそうに鳴く弟妹たち。
ふふふ、ここがええんやろ?
分かっとりますがな!
鳥が気持ちいいとこなんてネットで検索済みだからね!
それに鳥になったことでそこんとこはより深く理解してる。
今のわたしは鳥にとって最高のモフリスト!
さぁ、わたしの美技に酔いなぁ!
「「「「びよ〜♡」」」」
…………。
数日後。
わたしは重大な事実に気付いてしまった。
いやね?
薄々気付いてはいたのよ。
なんか弟妹たち、おっきいなぁって。
まるまるふわふわで可愛いなぁって。
ラブリー♡
……じゃなくて!
いや、ラブリーなんだけれども。
なんか、弟妹たち、わたしと似てないなぁって。
弟妹たちはママンそっくりの青まんじゅう。
けどね?
わたしは茶色と白のスズメみたいな姿なの。
これに気付いたのは弟妹たちの毛並みが落ち着き始めた頃。
なんか毛の質感が違ったんだよね。
色なんか全然ね。
いやね?
自分の羽根とか羽繕いとか練習しててね、なんか色違うなーって思ってて。
それに鳴き声も違うし。
これは考えたくなかったんだけど、あれだね。
托卵、ってやつだ。
…………………………。
鳥の一部には托卵ていう習性がある。
よその巣に卵を産んで、その巣の親に子供を育てさせること。
カッコウとかが有名かな?
これはわたしも驚いたんだけど、鳥に限らず、実は魚とかも同じことをするんだって。
たしか、ナマズも、だったかな。
(°△°)ぴょ
托卵で生まれた子供はその巣にもともとある卵を落として割ったりもするらしいんだけど、わたしは最初から意識があったから弟妹たちを落とさずに済んだのが唯一の救いかな。
まぁなんであれ。
わたしはママンの本当の子供じゃない。
生まれ変わって早々にショックだなぁ。
そっか、ママンはわたしの本当のお母さんじゃなかったんだ。
…………………………。
どうしてかな。
わたしの前世のせいかな?
前世の両親は事故で亡くなったらしい。
物心つくまで施設で育ったわたしは遠縁の、前世でのお父さんに養子として引き取られた。
お父さんっていうよりお兄ちゃんって感じの人だった。
頭を撫でられたり抱きしめられると、ああ、本当のお父さんってこんな感じなのかな、なんて思ってた。
本当の血の繋がった家族の温もりは知らなかった。
けど、それでもお父さんはわたしにとって本当の家族だった。
ママンのふわふわな羽毛に抱かれて、あったかいって思った。
やっぱりママンがわたしのお母さんだね。
産んでくれたお母さん、ありがとう。
前向きに生きるって決めてる以上、わたしは落ち着きません!
じゃなくて、落ち込みません!
前世と合わせて産みの親と育てのママンでお母さんが三人。
最高じゃないの!
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