第14話 意外な人との再会

セリアとルノアと共に教室へと向かっている。リタはルノアと波長が合ったのか楽しそうにお喋りをしている。


「ところでセリアとコウヤはどうやって知り合ったの?」


「ああ〜、それはぁ〜・・・・・・」


「私がアニス学園長と話をしている最中に、コウヤくんが来たの、ね?」


「そ、そうだな!」


セリア、ナイスフォロー。


「ふ〜ん、そうなんだ。セリア、もしかしてコウヤのことが、モゴッ!?」


「アハハッ! 何でもないよコウヤくん、何でもっ!!」


セリアは顔を真っ赤にさせてルノアの口を押さえていて、口を押さえられているルノアの方は目元が笑っていた。


「何を慌てているのかわからないけど、そろそろ口元から手を離してあげな」


「あ、うん」


セリアがルノアの口元から手を離した瞬間、ルノアはセリアの背後に回って抱き付いて頬ずりしているのだ。


「もぉ〜、セリアったらぁ! 可愛いんだからぁ〜、このこのぉ〜!」


「ちょっ! ルノア! 人前だから止めてよぉ!」


とても微笑ましい光景と言いたいところなのだが、ルノアの手がセリアの胸を触っているのでちょっとエロい感じになっている。


「コウヤ、エッチな顔になってるぅ!」


「そんなことはないだろ!」


ちゃんと目を背けているからセーフだぞ、おい!


「み、見ないでコウヤくん。ひゃあっ!?」


「おやおやぁ〜? セリアはコウヤに見られるのがイヤなんだぁ〜?」


「うぅ〜・・・・・・アンッ!?」


「相変わらずセリアは反応がいいねぇ〜」


しつこいようだが俺は目を背けているから平気だ。断じてチラ見なんてしていないからなぁ!


「「「「ゴクリッ!?」」」」


「コウヤよりもえっちぃ人達をみぃ〜つけたぁっ!?」


リタがそう言うと周りにいた男連中が知らん顔をさせながら散って行った。


「ッ〜〜〜!!? ルノア!?」


胸を揉まれていたセリアがキレたところで、ルノアはセリアから離れた。


「ありゃぁ〜、流石にしつこかったかなぁ? ゴメンねセリア」


「もぉ〜、次やったら本当に怒るんだからね!」


「ああ、待ってセリアぁ!? アタシが悪かったってばぁ!」


早足で歩き出したセリアをルノアは慌てて追い掛ける。そのようすを見ていた俺はため息を吐いた後に、2人の後を追って教室へと入って行く。


「セリア、ゴメンってば!」


「怒ってない」


いや、明らかに怒っているだろう。


そう思いながら、セリアの隣に座る。


「ホント? ならまたセリアの胸を揉んでいい?」


「ダメ」


あらま、ツーンとした表情でルノアに返事をする。ルノアの方は慣れているのか、ニコニコとしている。


「2人は仲がいいねぇ」


「そうだねぇ!」


俺達がそう言うと、2人はこっちを向いて来る。


「アタシ達は幼なじみだからねぇ」


「・・・・・・そうだね」


セリアが不機嫌そうな顔で答える。


「セリアも怒るのはその辺にしたら、どうだ?」


「ルノアは調子に乗るから、すぐには許さないようにしてるの」


「えっ、アタシのことを許してくれてるの?」


「あっ!?」


ハッ!? と気付いたようすで俺達を見つめて来た。


「セリアの表情、可愛い〜!!」


「流石アタシの親友!」


「ッ〜〜〜!!? もう、コウヤくんのせいなんだからねっ!!」


「えっ!? 俺のせいなのか?」


そんな話をしていると、予鈴が鳴った。それと同時に教室にメガネを掛けた女性教師が入って教壇に立った。


「はい、みんな座って! ホームルーム始めるわよぉ!」


その一言で、各々好きなところに座る。


「ええ〜、今日からこのクラスの担任になった。 ルコア・サーレスト です。皆さん、よろしくお願いします!

これから皆さんの歓迎会をするので体育館の方に移動します。なので適当でいいので廊下に男女別に2列で並んで下さい!」


適当でいいのかよ。


そんなことを思っていたら周りの生徒が立ち上がって廊下へと出て行く。


「コウヤくん、行こう」


「ん? あ、ああ!」


そう返事をしてから廊下の外へと出て、セリアはルノアと隣同士に並んで俺は適当な場所に知らないヤツと並ぶ。


「全員並びましたね。それでは行きますよ! 私に付いて来て下さい!」


前に付いて行くようにして廊下を歩いていると、とても大きい建物の中へと入って行く。


ここが体育館だったのかぁ〜。


余りにも大きい建物だったから、部室棟かなんかだと思った。


そのまま体育館の中へ入ると、たくさんの椅子が並べられたところに着いた。


「皆さん、ここに席に座って下さい!」


俺は他の連中と同じように先生の指示通り、用意された席に座った。


「コウヤ、ここ広いね!」


「ああ、俺が通っていた学園の倍以上広さがある」


日本だとバスケットコート1つ作れるほどの広さが体育館の広さの基準なのに、ここはバスケットコートが6つ入りそうなほどの広さがある。


「あっ!? コウヤ、あれ見て!」


「あれ? あっ!?」


アンリネットがいないと思っていたら、何と別クラスにいるではないか。しかもそのことが不服なのか、頬を膨らませてこっちを見ている。


「うわぁ〜、あの子相当不機嫌だよ」


「ああ、見てわかるよ」


きっとアニス学園長が俺が異世界から来た人とバレないように、アンリネットさんを別クラスにしたんだろう。しかもカーシャさんが呆れたようすでアンリネットのことを見つめているよ。


そんなことを思っていたら、体育館にマイクのスイッチをONにしたような音がした後に演劇用の舞台に立っている教師が話始めた。


『これより、新入生歓迎会を始めたいと思います! 先ず始めにアニス学園長のご挨拶です』


女性がそう言うと、隣に立っていたアニス学園長が舞台の真ん中へと立った。


『皆さんおはようございます。知っている人もいると思うが、私がここの責任者、 アニス・キオナ・リベルト 学園長だ。初めての人は以後よろしく。

さて、新しくこの学園に入学をして来た人もいれば、新年度を迎えられた学生もいるだろうから説明をしておく。学園生である限り地位や権力が使えない。私利私欲で振るうようで有れば、学園を追い出されるから覚悟しておけ。以上だ』


学園長はそう言うと、舞台から降りて行く。


『ありがとうございました! 続いて新入生代表、セリア・オルコス さん。ご挨拶をお願いします』


「はいっ!」


「「えっ!?」」


俺とリタは信じられないような顔で、舞台の上に向かうセリアを見つめていた。


『皆さま、おはようございます。新入生代表の セリア・オルコス です。私は栄えあるディスペル魔法学園に皆さまと共に入学出来て光栄です。

ディスペル魔法学園の生徒として恥じぬように共に勉学に励みましょう!』


セリアがそう言ってから礼をすると拍手の中、舞台から降りて来た。そしてアニス学園長を見てみると、俺の顔を見つめて笑い堪えていた。


「マジか」


「セリアが新入生代表だったんだぁ〜!」


『次に、在校生代表の挨拶です!』


先生がそう言うと、壇上に上がって来たのは何と、さっきの髪の青い人だった。


「コウヤ、あの人!」


「あ、ああ、さっきクラス表の場所を教えてくれた人だ」


俺とリタがそんなやり取りとしていると、彼女は舞台の上で一歩前に出て話始めた。


『新入生の諸君、入学おめでとう。私の名前は イレイラ・ミッド・サリアス もう知っている方もいると思うが、私はこの国の第3王女だ』


え、マジかぁ!?


「わぉ、コウヤはビックな人に案内して貰ったねぇ!」


「そこ、静かにしなさい!」


「ゴメンなさい!」


リタはそう謝ると、俺の後ろに隠れた。


『しかし私は王女である前に学園の生徒なので、身分を気にせず接して欲しい。この学園の生徒として共に勉学を励もう。以上だ』


彼女はそう言い切ると、一礼をしてから舞台を降りるが何故だか俺を見つめてニコッとしていたのだった。

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