第22話 クリスタルブレード改造計画と母親の追求

「うええええええぇぇぇ・・・・・・もうヤダァ〜」


リタがこう言うのも仕方がない。だって帰って来てから、ずぅ〜〜〜〜〜〜っと! あの子は誰なの? とか どんな子なの? とか聞いて来たので、今はもうウンザリした状態でイスに座っている。


「お疲れ、リタ」


「コウヤもねぇ〜」


リタも母親に同じこと何度も説明していたから俺と同じように疲れていて、俺のベットに横たわっていた。


「ん〜・・・・・・」


「考え込んでどうしたの、コウヤ?」


「いやさ、俺の作ったクリスタルブレードを、どうやって改良をすればいいんだろう。って思ってな」


クリスタルブレードを作り、刃の部分を眺めているとリタがこっちに飛んで来た。


「さっきも言ったけど、欠けたりヒビが入ったら直せばいいんじゃないの?」


「それはそれで魔力を消費することになるからなぁ〜。それに戦っている途中で直すことに集中しなきゃいけないだろ? 相手にとってクリスタルブレードを直している間が隙じゃないのか?」


俺が敵だったら、絶対にそこを突く。


「量産して持っている手もあるけど?」


「それはそれで動きが阻害されるから、問題あると思う」


クリスタルブレードを10本や20本持って戦う姿を想像すると、変な格好としか思えないだろう。


「せめてこの刃の部分がカッターナイフのように取り替えられればなぁ〜」


でも、グリップから先端まで一体化しているから、どう考えても付け替えなんて無理に決まっているだろう。


「逆転の発想。魔力の剣とクリスタルブレードを2本持って戦う的な感じ!」


そう言ってクリスタルブレードと魔力の剣を持ち、リタに構えて見せたら呆れたような顔をされてしまった。


「コウヤ、刃こぼれする問題から離れているよ」


「ゴメン、現実逃避していた」


仕方ないだろう。だっていい案が浮かばないんだから。


「せめてクリスタルブレードに魔力の剣のような特性があれば・・・・・・ん?」


魔力の剣の特性・・・・・・。


そう思いながら、クリスタルブレードと今作り出した魔力の剣を交互に見る。


「どうしたの、コウヤ?」


「もしかしたら、刃こぼれしないクリスタルブレードを作れるかもしれない」


「えっ!? 嘘でしょ?」


「嘘かどうかは置いといて、このクリスタルブレードにこの魔力の剣を組み合わせてみれば・・・・・・」


試行錯誤しながら試してみた結果、リタも驚くようなクリスタルブレードが出来た!


「スゴイ、スゴイよコウヤ!」


「俺もこの出来にはビックリしている」


「明日アニスとセリアに見せてみよう! これ見たらビックリすると思うの!」


「ああ、アニス学園長はきっと驚くだろうな!」


俺達はワクワクしながら就寝した筈だが、何故か落ち付かないので目を開き、周囲を見渡して今いる場所を理解する。


あれ、ここは校長の家じゃないか。また妙な夢を見ているのか。


「でよぉ〜、どうするんだよ?」


「その金はもうお前に払っているだろ?」


校長と体育の納錦じゃないか!


その2人がテーブル越しに話し合っているが、何故か緊迫感が漂っていた。


「あぁ〜? お前は自分が置かれた状況を理解してないようだなぁ〜? 俺が出るところへ出て正直に話せば、築き上げたもん全部パァーに出来るんだぜ。

何なら明日行くとこ行って話してやろうかぁ〜。アンタがやって来たこと全部よぉ?」


納錦は嫌味ったらしい顔をさせ、ハゲ校長に顔を近づける。


やっぱりこの人、グルだったのか。そうしたら社会の先生の方もそうなのか?


「そんなことすれば、お前も独房行きだぞ」


「務所暮らしぐらい、俺は我慢出来るってうの。だから追加料金を払え」


もしかして追加料金って、口止め料のことか?


校長に向かって手を出すその姿に、 気味が悪い。 と感じてしまう。


「・・・・・・断ったら?」


「オメェをブチのめしてから全部世間に告発してやる」


言っていることがもう脅迫じゃないか。流石に校長も・・・・・・ん?


黙り込む校長の姿に不信感を感じていたら、納錦の方が痺れを切らし、テーブルをぶっ叩き問い詰めだした。


「払うかブチのめされたいのか、さっさとハッキリしやがれっ!!」


「残念だな納錦。キミとはここまでの縁みたいだったな」


「つまり払わねぇって言いたんだな?」


「ああ、お前みたいな役立たずに1円も払うつもりはない」


納錦はその言葉を聞いた瞬間に左手で校長の胸ぐらを掴み、残った方の手は拳を作り構えた。


「ブッ飛ばされる覚悟があるんだなテメェはよぉ?」


何故だ? 追い詰められている筈のに、何で冷静でいられるんだ?


「大人しく帰ってくれればよかったんだが、こうなってはもう仕方ないだろう」


「ハァ? 何を言ってるんッ!?」


言葉を発している途中、何と誰かが納錦の後頭部を殴り付けたのだ! そのせいで納錦は後頭部を両手で抑えながら床に倒れて踞ってしまった。


「言った筈だ。大人しく帰っていればよかった。と」


「誰、ッ!?」


顔を上げた納錦は驚いていた。何故なら金属バットを持った4人の青年に囲まれているのだから。


「お、おい・・・・・・何のマネだよ駄爆?」


「お前の代わりは金を出せばすぐに見つかるんだ」


「お、おい・・・・・・コイツら、まさか?」


さっきとは違い、怯えた表情を見せる納錦に対してハゲ校長は見下ろしながら話だす。


「納錦。お前には本当にガッカリした。高い金でお前を雇ってやったのに、こんなことをされるとはな。飼い犬に手を噛まれた気分だよ」


「あ、ああ・・・・・・」


「コイツを痛め付けて縛ってくれ」


納錦はその言葉を聞いた瞬間に命の危機を感じ、這いずって逃げようとしたが取り囲んでいる青年の1人に止められた。


「頼む駄爆! 黙っているから、許してくれ! 金はいらない、だから・・・・・・」


「黙らせろ」


青年がバットを振り上げたのと同時に、納錦の悲鳴を上げたところで夢が終わった。


「うわっ?」


ガバッと上体を起こして汗を拭う。


嫌な夢を見ちまったよ。でも、あの夢が現実に起きていたのなら、相当体育の先生の身がヤバイぞ。


「おはよ、コウヤァ〜! って、どうしたの、そんなに汗を掻いて!」


「ああ、うん。嫌な夢を見たから」


「嫌な夢?」


「ああ、実は・・・・・・」


校長と体育の先生がお金をめぐって家で言い争っていたことを話した。


「じゃあ、そのノウキンって人が殺された可能性があるね?」


「いや、殺されてないと思う」


「どうして?」


「校長は雇った青年達に、生かしたまま縛るように言っていたからな」


それに、故意に人を殺すことなんてしないだろう。


「まぁ何にせよ。夢で見た光景を警察に話したところで、信憑性がないって言われて終わるだけだからなぁ〜」


どう対処すればいいのか困る。


「それよりも、早くご飯を食べようよ!」


俺の夢よりも朝食の方優先かよ。


「ハァ〜・・・・・・まぁそうだな。朝食を食べようか」


「そうしましょう!」


体育の先生の身に何かあったら、真吾の方から連絡が来ると思うしな。てか、リタがいねぇ!


どうやら先に行ってしまったらしい。なので、ため息を吐いた後に着替えてリビングへと向かった。


「おはよう。父さん、母さん」


「おはよう、コウヤ」


「・・・・・・」


父さんはボソボソと何かを言っている。多分、俺に向かって おはよう。 と言っているんだと思う。


「今日も向こうの学校に行くんでしょ?」


「ああ、それで明日のことなんだけど・・・・・・」


「千春から聞いているわ。取材を受けるんでしょ?」


姉さん俺が言う前に話していたのか。


そう思った後に椅子に座り、食事を始める。


「明日は身だしなみを整えて行かなくちゃね!」


「・・・・・・ハァ?」


何で身だしなみを整えなくちゃいけないんだ? あ、もしかして。


「母さん、確かに俺はテレビに出るけど顔まで出ないと思うぞ」


「そうなの?」


「そうだよ。だから学校の制服を着て記者の質問に答えるだけだと思うから、母さんが思っているようなことをしなくていい」


俺がそう言うと父さんも頷いていた。


「あらそうなの、残念。ところで昨日のあの子・・・・・・」


「「もうしつこいっ!!」」


俺とセリアがそう言うと、 ゴメンなさい。 と申し訳なさそうな顔をさせて謝って来た。父さんはそんな母さんの姿を、呆れたような顔で見つめていた。

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