第3話 ウ□トラ怪獣のフィギア……

 僕らは美人刑事リオの運転する車で鬼頭きとうの殺害現場である彼の部屋へ向かった。



 知人の話しによると鬼頭カレは、ジャ○アンを十倍ほどワガママにし、粗暴なまま大人になった半グレ ヤンキーだと言う。



 他人ひとの恋人や愛妻でも平気で寝盗り、飽きればゴミクズのように捨てていく。


 関わったひと 全てからみ嫌われていた。


 気の小さい僕たちからしたら考えられない男性おとこだ。

 出来れば関わり合いになりたくない。

 いや絶対、関わり合うのは御免ゴメンだ。




 現場となった彼の部屋は遺体発見時のままになっていた。


               

 気のせいか、まだかすかに血生臭ぐさにおいが漂っていた。


 血痕が飛び散り、コレクションケースからウ□トラ怪獣のフィギアが全部、床に落ちて散らばっていた。


「スゲェ~な……(;ŏ﹏ŏ)!! これは!!」

 数百体と言うフィギアが無惨に床に転がっている。数え切れないくらいだ。



 もちろん僕はウ□トラ怪獣世代ではないが、それでも知っている怪獣が多い。



 ゼッ○ンやピグ○ン、レッ○キング、ゴ○ラ、そしてゴ○ラ関連の怪獣など数百体くらいが床に散乱ていた。

 全部、無造作に叩き落とされたみたいだ。



「見つけた時は、既にそうよ……」

 リオが説明した。



「はァ~……」

 これでは、何のフィギアが幾つ無くなっているのか、皆目、見当がつかない。



 ショパンは床にしゃがみ、熱心に落ちているフィギアを見つめていた。


 ケースの中に整然と並べられた写真と見比べているようだ。ショパンは一度見れば、写真のように記憶が出来るらしい。


 うらやましい限りだ。

 カンニングの必要がないので、ペーパーテストは、ほぼ満点に近い。



「第一発見者は……!! 確か、たいら いずみさんですよねェ……」

 何気に僕はリオに訊いた。つい彼女の豊かな胸元に視線がいってしまう。



「ええ……、たいら いずみ鬼頭きとうの愛人らしいわ」

 


「フフ、このご時世に愛人か……」

 全く……。あきれてモノも言えない。

 殺されても当然だろう。



 周知の通り第一発見者は、有力な容疑者のひとりだ。


 ダイイングメッセージの『ダブルピース』も彼女の名前のたいら いずみの『平和ピース』から取ったモノかも知れない。



たいら いずみは、愛人にされ、さんざん翻弄もてあそばれた挙げ句、捨てられそうになったそうよ」

 リオが説明を加えた。



「ちッ、なんてヤツだ……」聞いてるだけで虫酸が走った。


 しかも鬼頭きとうが殺されたことで多額の保険金が手に入るそうだ。

 殺害動機には充分だろう。

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