06.Sewing



君と出会って十数年と数ヶ月

そろそろ何かできないかなぁって

ハグとキスも済ませたし

足りないもの補っていきたい

どうしようもないくらい心配性なのさ


君との関係始めた頃を思い出し

小さい小さいひとつの玉結び

気がついた時には僕は

針と糸握りしめていた

自分がわからなくなるって怖いなぁ


空回りした気遣いを

何事もなかったかのように隠し

そんなこんなで手の指は傷だらけ


たまに思いが赤く

膨れ上がって隠せなくなる

君の優しさが癒しとなるなら


ふわり空に浮かんで消えてくだけ

君に贈りたい気持ち 真心が全部

前だけを見て そうじゃなきゃ歩けない

いつも君の気遣いに負けちゃうんだよな


男らしさが風邪気味で

優しさも何もかも君に吸い込まれてく

君のため 何かしてあげたい

絆創膏だらけの心で 愛してるよ



失敗しても何度でもやり直せるさ

君に思いが伝わると信じて

所々ほつれた跡

見え隠れする不器用さが

勲章みたいで笑えるね


センスのないリボン選び

募ってくままの後ろめたさ

最後までうまくできないかもだけど


いつまでも いつまでも

君を思っているんだよと

僕はそっとリボンを結んだんだ


君が何が欲しいかわからない

不甲斐ない自分も全て縫い合わせて

できたのが いびつな形の愛

あなたらしくていいねって笑ってくれよ



関係を終わらせたくはないからと

最後の玉止めはしないでおくよ

いいだろう

この贈り物が僕と君

綺麗じゃなくたっていいんだよ


ふわり空に浮かんで消えたって

すぐにやり直せるよ 君を愛してみせるよ

「自分らしさが一番大事なの」

君はそう言って笑って受け取ったんだ


嬉しくて ただ嬉しくて

君を抱き締めたい気持ち

止められなかったんだ

君だけを見て 君と歩きたい

また君にとっておきの愛を

きっと喜んでくれる君へと贈りましょう


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る