六日目

「おはようございます、ご主人様」

 ふあぁあ……今日もフーたんの優しさに包まれて快適だった。顔面距離数センチメートルから微笑んでくれる彼女は、まじで天使に見える。

 さて、エロも解禁されたことだし、まずはフーたんとお目覚めのキスを――

「はわわわわわわ!!!?」

 ぐっはぁああ!! なぜ突き飛ばす!?

 どういうことだ? 昨日、確かにエッチなことは大丈夫だと妄想したはずだ。なのに、フーたんのキスすら拒否されるって一体どうなってる。

「ごごごごめんなさい!」

「フーたん……なんで俺の愛を拒絶するんだ」

「何と言いますか……本能です」

 めっちゃ傷ついた。やっぱり、キモオタデブは生理的に受け付けないってことだね……。

 くそ、こうなったら脱衣麻雀で見返してやる!

「さて、今日は麻雀です」

 バ神美ばかみか。今日はナイスタイミングで現れたな。

「麻雀とは、十四枚の牌で手役を作りその得点の大小で順位を競うゲームです」

 相変わらず基本説明からかい。

「通常は四人で行いますが、三人や二人でも行うことが出来ます。何人で行いますか?」

 脱いでもらうのは多い方がいいに決まってる。

「もちろん四人麻雀だ」

「分かりました。となると、キャン、フー・トン、私ともう一人必要ですね。新しい面子を呼びましょう」

「はわわ、わたくしもやるのでございますかぁ……」

 ほぅ、バ神美にしては気が利くな。

「はじめましてぇ、略してはめぇ。名前はブラ・ブラ、略してブラフ」

 なんかヤンキー風の女が出てきたぞ。名前も略し方も妙にエロいが、なんかむかつくのはなんでだろう。

「その略し方おかしくね? 普通、ブラジャーが二つで『ブラツー』とかじゃないの」

「知らないのぉ? 略してしのぉ?」

 こいつまじでむかつく。

「インターネットスラングです。キーボードの『ふ』と『二』の位置が同じことから、『ふ』は『二』を意味するのです」

「あと、ひぃ、ふぅ、みぃって数え方もしますよね、ご主人様」

 バ神美の説明が役に立つ日が来るとは……世も末だ。

「さて、面子が揃ったところで麻雀を始めましょうか」

「ちょっと待て。確認するが、これは脱衣麻雀だよな?」

「その通りです」

「半荘を制した奴が誰かを指名して服を一枚ずつ脱がせていく。これでいいな?」

「構いません。では、持ち点二万五千点から対局を始めましょう。サイコロを振ります」

 結果、親はブラフか。

 ブラフから反時計回りにバ神美、フーたん、そして俺。ラス親引けたのはラッキーだな。宮○照みやながてるばりに連チャンしてやんよ。

 まずは配牌だ。

 お、いきなり白が四枚来た。役が一つ確定しただけじゃなく、かんでドラを増やすことも出来る。これは戦術の自由度が高いぞ。

 さて、次の四枚は……また白が四枚!?

 いやいやいやいや、この麻雀牌おかしいだろ! 同じ種類の牌は四枚しか無い! 常識じゃん! どうする? 指摘するか?

 ……いや、待てよ。冷静に考えたらこれは有利なんじゃね?

 ここは何でもありの異世界だ。普通の思考に囚われたら一撃でやられる可能性もある。

 白が八枚ということは、混一色ほんいーそー字一色つーいーそーといった打点の高い役が期待できる。もし役満をあがれば、一撃で相手を飛ばすことが可能だ。

 最後まで様子を見るか。

 ……結局、手元に来た牌は全部白。白が十三枚。誰かが白を捨てたり俺が白をツモれば、その時点で半荘終了、俺の勝ちだ……!

「おい、ブラフ。お前の番だろ、はやく牌を切れよ」

「置物の方がましだったな……。略しておま」

 え。ま、まさか……。

「ツモ。天和てんほう字一色つーいーそー白一色はくいーそー、六万四千オールだ。……終わりだな。略しておな」

 おいいいいいいいいいいいいい!?!??

 なんだよこれ!! お前も白ばっかかよ!!!

 他の牌は? 他の牌はどうなってる!!

 めくる、めくる、めくる、めくる、めくる……。

「全部……白……」

「絵がロストしてるねぇ。略して絵ロス」

 ……もしかして、昨日エロス全開でお願いとか妄想したせいですか、そうですか。

 安○先生あんざいせんせい……普通の麻雀がしたいです……。

「ということでキャン、お前に脱いでもらうぞ。略しておまぬぞ!」

「や、やめてくれえええ!!」

 あ、また眠気が……。

 なんでこうもすぐに……強烈な眠気が……襲ってくるんだ……?

 これを……止める……方法は……無いのか……。

 ガクッ。

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