相沢優香と行くカラオケ③
「ふう・・・どう?盛り上がったでしょ?」
「ああ。カラオケってこんなに楽しいものだったんだな。今まで気まずいものだって思ってたから、声だして盛り上がれるなんて思ってもみなかったよ」
「じゃあ次、聡太も歌って」
歌い終わって額に汗を浮かべた相沢は手に持ったマイクをほい、とこちらに差し出した。
「だ、だから俺は歌えないって!」
「ほれほれ~そんなこと言わずに~」
俺の手を取ってマイクを握らせる相沢。俺の右手を彼女の両手が包み込む。少し汗ばんだ彼女の手はいつもよりほんのり温かく、そしていつもより柔らかかった。
相沢はそのままマイクを押しつけてくる。そのせいで、彼女の体が俺の体に密着する。慌てて体を離すも、相沢はグイグイと迫ってくる。
「嫌だ!絶対に嫌!俺、中学の頃にトラウマがあって、歌うのは死ぬほど恥ずかしいんだって!」
「なにそれウケるね。あたしだけ歌わせておいて聡太は歌わないなんて許されないよ~」
「わ、わかった!わかったから!歌う、歌うよ!」
「ほい。聡太は何を歌ってくれるのかな〜」
端末を渡す彼女の顔はニヤついていた。入店したときは歌わなくてもいいって言ったのに騙しやがったな。ちくしょう、結局こうなるのか!
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