相沢優香と行くカラオケ①




「ジャジャーン。到着~」


「ここは・・・確かにここなら飯も食えるかもしれないけど、ここって・・・」


「ささ、入ろうよ。早く早く〜」




相沢に連れてこられたのは、椅子に座れて長時間居座れる、更に食事も出来る場所。早い話、カラオケ店である。




「ちょ、ちょっと待て!俺、カラオケとかほとんど行ったことないんだが・・・」


「大丈夫。わたし歌が下手とかで馬鹿にしたりしないから。それにどうしても嫌なら、歌わなくていいよ。ご飯食べるだけでいいよ。今ミラガのコラボしてるから、対象のメニューを頼めばクリアポスターもらえるの」


「あ、クリアポスターは欲しい・・・って、もう店員と話してるし!」




相沢は店員に部屋の番号を聞き、俺を手招きして部屋に向かう。店の壁にはアニメのコラボ告知のポスターがいくつも貼られている。ミラガだけでなく、話題の人気アニメもいくつかコラボしているようだ。


カラオケとかリア充の行く場所だと思ってたけど、意外にもオタクも客層として根付いているのか?まあ、この建物自体オタクが良く来る場所だからっていうのもあるんだろうけど。


部屋に着くと、相沢は上着をハンガーに掛けて椅子に座る。その姿にどこか慣れた様子を見て取れる。ひょっとしたら、誰かとよくカラオケに来ているのかもしれない。




「あたしヒトカラが結構好きでさ。よく休みの日に行くんだよね〜」


「へえ、そうなのか」




俺の心の内を読まれたかのような言動に、少し肩が揺れる。相沢は勘がいいのか、それとも偶然なのか俺が思っていることをよく言い当てられる。狙っているのなら、人の心の動きに機敏ということになるけど、学校では人付き合いに関心がないように見えるから偶然だろうきっと。

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