魔王様の勧誘活動

@smallwolf

第1話 魔王様は生き残りたい

我は魔王・・・の息子なり。



親父殿は先日老衰でぽっくり逝ってしまった。まぁ1000歳超えてたしな・・・


仕方ない・・・



それで我が魔王となった・・・



なった・・・のだが



「部下が一人しか居ないとはどういうことだぁぁぁぁぁぁ!!!」



我の叫びが魔王城に響いた。



「魔王様、どうなされました?」



「おうサジェリカよ!聞いてくれ!」



サジェリカは唯一の俺の部下、先代魔王の補佐役でもあった女軍師だ。



金髪金眼の陶器のような白い肌、背丈は165センチと俺と同程度。


見た目は若く人間の年齢で20歳くらいに見える。


親父とはどういう仲だったのか・・・聞いても答えてくれない。気になる・・・ではなくて!!!



「部下がお前しか居ないのだがどういうことだ!!先日まで居た奴らはどうした!我を守る4大悪魔はどこに!!」



「魔王様、先日まで居たのは先代魔王様の部下たちであってあなたの部下ではありません。」



「はあ!!??どゆこと!!??」



「今まで居た部下たちは先代魔王様に雇われた部下たちなのです。雇用期間が自分の存命中だったので、皆さんもういません。」



「雇用期間!!??え?なに?あいつら親父殿に忠誠誓ってたんじゃなかったの!!??」



「あのセクハラヤロ・・・先代魔王様に忠誠誓う者などいません。むしろ存命中からブラック企業かよと思ってまし・・・失礼、部下の方たちがそう言っていました。」



「今親父殿の事セクハラヤローって言おうとしなかった?しかもお前がブラック企業って言ってた感じなの?」



「言っていません。ムッツリスケ・・・魔王様」



「ムッツリスケベ!!??」



「事あるごとに私の胸やお尻へと視線が動・・・失礼、私の事をよく気にかけてくれて感謝しています。」



「ゴハァ!!」



え?何?気づいてたの?ちょっえ?え?



「し・・・仕方ないだろ!!男なら誰だってそうなるわ!!!」



「認めましたねスケベ野郎」



「もう言い繕いすら無くなったーーーー!!」



「ともかく、部下は現在私だけです。」



「あ、でもお前が残ってくれたんだな・・・やはり俺の人徳・・・」



「先代スケベから雇用期間を伸ばしてもらいました。これで先代スケベの遺産を独り占めです。」



「財産目的かよ!!そして継承してるのは魔王であってスケベじゃねえ!!!ってかじゃあ俺への遺産とかは??」



「ここに先代スケベからの手紙があります。」



「スケベで固定かよ・・・どれ・・・見せてくれ・・・」


俺はサジェリカから手紙を受け取った。そこには



「遺産は全部サジェリカたんにあげちゃった。勇者のこととか色々あるけど頑張れ!」



「クソおやじがあああああああああああああああああああ!!!!!!」



遺産を息子に残さないとかなんなんだよあの親父はああああああああ!



「ってか勇者ってなに?なんのこと?」



「先日スケベ様を倒すために結成された者たちの事ですね」



「え?なんで?倒されるようなことなんかしたか?俺?」



「先代スケベ様が部下たちのお給金を払うためによく人間の街へと侵攻してお金を巻き上げたりしてましたからね、それだと思います」



「あんのクソ親父いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」



要らんものばかり残しやがって!!!



「それだと俺とばっちりじゃねえか!!」



「ザマァ」



「おいいいいいいいいいいいいいいいい!」


もう部下として色々間違ってるぞサジェリカ・・・



「勇者は今どのあたりに?」



「まだ最初の街を出発した所のようです。ここに来るまで早くて1か月かと」



「1か月か・・・何か準備しないとな・・・新しい部下を雇うしか・・・」



「どうやってですか?」


札束で自分を仰ぎながらサジェリカが聞いてくる。



「うぜえええええええええええええええええええええ!!!!!!」



「お金を貸して差し上げましょうか?スケベ様」



「マジで!?ありがとう」



「いえいえ。トイチでいいですよ!」



「高!!!ボッタじゃねえか!!!要らねえよ!!!」



「では部下はどうしますか?」



「普通にかき集めてやるよ!俺の人徳でな!!」



そう言い俺は魔王城を飛び出した。



・・・・・・・・・・・その後・・・・・・・・・・・・・・・・



「そこのスケルトン!我に仕えよ」



「嫌だよ、お前先代魔王の息子だろ?あんなブラック企業二度と仕えるもんか!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・



「そこのゾンビよ!我に仕えよ!」



「もう嫌だ!あんな重労働死んでも嫌だ!!」



お前もう死んでるじゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・



「4大悪魔よ!再び我に仕えよ!」



「「「「報酬は??」」」」



「我とともに来ればこの世界を思うがままにできる権利をやろう」



「へー、じゃあ世界征服してからまた誘ってねー」


「世界とか要らね、金だ金」


「帰れカス」


「おうち帰る」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










再び魔王城



「何故誰も俺に仕えてくれないんだああああああああああああああああああ!!」



魔王城に我の叫びがまた響いた。



「おい!サジェリカ!どこだ!!」



サジェリカを探す、こうなりゃトイチでいいから金借りて勇者に対処するしかねえ!



ふと視線を下げると床に何か落ちている。あれは・・・手紙?



気になったので拾って中身を確認してみる。



「勇者パーティーが近づいて来た為、お休みを頂きます。サジェリカより」



おいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!



逃げたぞ!?あいつ逃げたぞ!?




ってか勇者パーティー近づいてきてるって一体どこまで・・・あれからまだ十日しかしてないからまだ20日くらいあるはずじゃ・・・



「着いたぞ!魔王城だ!!」


「何の障害も無かったわね?モンスターも出なかったし」


「俺たちの事を舐めてるんだ、ふざけやがって!!」



あれええええええええええええええええええええええええええ



もう来ちゃったよ!?勇者さん達!?



どうしよう!俺まだ魔王継承したばかり・・・っは!そうだ!



「魔王は先代魔王からの魔力を継承できるんだ!!」



親父殿の魔王としての魔力を引き継げば・・・って・・・



「遺産サジェリカが全部持ってってるじゃあねえかああああああああああああ!!!」



今の魔力じゃそこら辺のモンスターと大して変わらねえぞ!俺!!





「誰か居るぞ!!魔王か!!」



「げぇ!見つかった!!」



くそう!戦っても勝ち目があるとは思えない・・・そうだ!!



「あ、魔王なら今外出中ですよ・・・」



しらばっくれるしかねえ!!



「魔王が外出中だと!?ならいつ戻ってくる?」



「聞いてないですねえ。」



「ふざけるな!奴には多くの金融機関が金を貸してたんだ!利子も多くある!貴様でもいい!払ってもらおうか!!」



利子!?はあっ!?



「すいません!ちょっといいですか!!??」



「なんだ?」



「親父・・・魔王様は街に侵攻してお金巻き上げてたんじゃ・・・」



「ああ、街に来てよく金融機関で金を借りていたぞ」



「親父殿おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



無理やり奪ってたわけでもないのかよ!!



ってか勇者ただの借金取りじゃねえか!!



「それより貴様!親父殿ということは魔王の息子だな!!なら貴様でもいい!払ってもらおうか!!」



げぇ!しまった!!



「いや・・・俺は遺産とかも引き継げなくて・・・無一文なんですが・・・」



「なら払いきるまで働いてもらうぞ!!来い!!!」



「ちょっやめっアーーーーーーーーーーーーーー!!」




その様子を陰から金色の瞳、サジェリカが見ていた。


「こうしてスケベ様・・・魔王様は人間の街でせっせと生涯働き続けましたとさ・・・めでたしめでたし」



「めでたくねええええええええええええええええええええ!!!!」



めでたしめでたし



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