‪「先輩は、そろそろ髪の毛を切りに行きませんか？」

‪「……まだ大丈夫だよ？」‬

‪「大丈夫じゃないですって。先輩の綺麗な顔が、伸びきった前髪のせいでほとんど隠れてしまってますもん」‬

‪「私の顔を綺麗だと言ってくれるのは君だけだから、君さえ見ることが出来ればそれで良くないかい？」‬

‪「先輩の顔を俺だけしか‬認識出来ないっていうのはこの上ないほどに魅力的ですけど……！　先輩は髪の毛が長いと、乾かすのが雑になるじゃないですか！」

「君の髪ならともかく、私の髪は自然乾燥で十分だろう」

「そんなんじゃ、いつか絶対風邪ひきますよ！」

「そんなこと」

「いくら先輩でも、こればっかりはないとは言い切れないですよね？」

「……まぁ」

「明日の午後、美容室に予約入れてるんで」

「えっ」

「引っ張ってでも連れて行きますからね！」

「えぇー……」

「……嫌がってる先輩の顔、めちゃくちゃかわいいですね」

「じゃあ、この顔に免じて明日は」

「それとこれとは別です」

「いけずだ……」

「なんとでも言ってください。今回は俺の方が正しいと思っているので！」

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