ニューイーグル・リバークルーズ社


「ねぇフィオナ、来月のお食事の献立、どうする?」

 ここアメリカのハウスでは、毎月夕食を料理月間として定めることになっているようです。


「そうね……来月は異国料理月間なんてのはどう?」

「いいわね、今月はアメリカの定番料理月間だつたし、先々月ケイジャン料理月間よね」

「でも異国料理月間といっても、どこの料理にするの、中華?それともイギリス?」


「日本はどうかしら、アメリカ風のものも、沢山あるようよ」

「いいわね、私この間、カリフォルニアロールを食べたのよ、口にあったわ」


「そりゃあそうよ、私たち、ミコ様に女にしていただいたのよ」

「ミコ様は日本の方、初夜のときに、あれだけ責められたら、ミコ様の好みも身体にしみこむのよ」

 ちょっとばかり無謀な理屈ですが、キムは納得するのです。


「そうよね、あの時は激しかったものね、後で聞いたのだけど、ミコ様、ストレスがひどかったようよ」

「私たちの身体で、ストレスを発散されたらしいのよ」

「後の子達は若かったので、かなりやさしくしたと聞いたわ、アディントン姉妹が、うらやましがっていたわね」


「あの時、タバサなんて十歳ですもの、さすがの『鬼畜』のミコ様もね」

「でも私はタバサをうらやましいのよ、だって十歳で抱いていただいたのだから」

「十歳であれをするとき、どうなのかしら……」

 二人は想像してしまいました……


「とにかく来月は日本料理月間……そうだ、パーティーをしない、日本で船上パーティーをしたわよね、あれ、楽しかったわ♪」


「アメリカの女は、時差の関係で参加できなかったから、今度はアメリカハウス主催で、どう?」

「賛成よ、アリシア様に異論はないはずよ、何とかミコ様に来ていただけるように、交渉していただきましょう♪」


 アリシアさんに提案すると、当然この話に飛びついたのです。

 勝気なアリシアさんとしては、日本の東京で行われた船上パーティーに、参加できなかったことを、残念に思っていたからです。


「アメリカハウス主催の船上パーティー!いいアイデアだわ」

「とにかくこのアメリカ地域で、リバークルーズをやっているところを探しておいて!」

「このマルスへ、どれだけ移っているか、分からないから」


「その後、ミコ様のスケジュールを確認し、何とかご参加できるように、お願いしてくるわ」


 二人が調べてみると、セントローレンス川のリバークルーズは、マルスには移ってきていませんが、ミシシッピ川のクルーズ運行会社は移っています。

 先ごろ船は完成、ただまだ許認可を待っている状態で、しかも資金不足、船の代金も払えなく、倒産寸前のようです。


「デヴィッドソンの子会社にでも、なってもらおうかしら♪」

 お金持ちは、いうことが違いますが、この話、ミコさんが大変乗り気でした。

 このクルーズ会社は、ミコさんのポケットマネーというより、ロッシチルド銀行に預けてある金で、支払ってくれることになったようです。


 このクルーズ会社は、ニューイーグル・リバークルーズ社となり、運営はデヴィッドソン財閥に一任、ただしアメリカメイドハウスに、十日の優先貸切の権利があり、前年に予定を通知することになりました。


 ニューイーグル・リバークルーズ社には、専用の船着場があり、貸出ハウスボートも、大小いろいろなタイプ、合計五隻が計画されています。


 このクルーズ船、ニューナッチェス号は蒸気ボイラーとはいきませんが、発電衛星からの受電で、外輪を動かすことになりました。

 それ以外は古き良きアメリカの雰囲気を漂わせ、料理もニューオリンズのクレオール&ケイジャン料理となります。


 宿泊施設はありませんが、毎日ニューイーグルを流れるハピネス・ブルー・リバーと呼ばれる川を、遡上する許可が下り、二番船のニューロザリー号とともに、ニューイーグルの観光には、なくてはならないリバークルーズとなったのです。


 勿論ニューロザリー号にも、アメリカメイドハウスに十日の優先貸切の権利があります。

「二十日も貸切できるのよ、そのうちベティに使わせようかしらね♪」


 とにかく、デヴィッドソン財閥に委託されたナーキッドオーナーの船ですからね、突貫工事で再改修、一月後にアメリカメイドハウス主催の船上パーティー、翌日はマスコミ相手のプレオープンとなりました。


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