第四章 クローイの物語 騎馬警官
カナダの女
クローイ・アルダーソンには望みがあった。
なんとしても自らを差し出したい……どんな形でもいい……身を焦がす想いが苦しい。
そんなクローイを見かねたのか、親友でもあるブレンダが手助けを買って出てくれた。
二人はどうすればいいのか、露骨な相談を始めた……そしてとんでもない作戦を計画、その結果は……
* * * * *
マルス日本地域の、トウキョウにある駐日カナダ大使館に勤めるクローイ・アルダーソン。
もと王立カナダ騎馬警官でしたが、落馬事故により外傷性の子宮破裂、子宮全摘の重症だったのですが、先ごろある出来事で完治したのです。
このとき、滅多にないことですが、クローイは複数の特定関係人の推薦によりメイドに任官、年齢を考慮され、清女となったのです。
「クローイ、水臭いのね、怪我のことぐらい、教えてくれなくっちゃ!」
「幸いミコ様に治していただいたからよかったけれど、でどうなの?」
清女になったのですが、当分は引継ぎの残務処理のために大使館勤務、その為、クローイは駐日カナダ大使館が手配してくれた部屋に住んでいるのです。
そこへ、親友でもあるブレンダが遊びに来てくれたのです。
「身体は問題ないわ、馬にも乗れそうよ」
「そんなことは聞いていないわ、ミコ様が治療された以上は完治よ、聞きたいのはミコ様に抱かれたいの、ということよ!」
「抱かれたい……ミコ様のものになりたい……愛されなくてもいいから、お側にいたい……」
「もう、愛されなくてもいいから、お側にいたい?」
「綺麗事は無しよ!三十はとうに過ぎているのよ」
「いまさら小娘のようなことを言わないの!寵妃になって、夜伽の順を確保したくないの?」
「……したいわよ!私はミコ様とお会いしたのよ!」
「ミコ様を想い、この心は恋い焦がれるのよ!」
「その上、私はミコ様にあそこを治していただいたのよ!散々に触られたのよ!」
「あれから毎晩、この身体は求めるのよ!夜になるとベッドで自分を慰めるばかり、もうミコ様だけが私の生きがい!」
「ブレンダの云うとおり、私は三十はとうに過ぎている、男も経験している、処女じゃないわ!官能もいくらかは知っているわよ!」
「でも、どうすればいいのかわからないのよ!」
そして泣き出したのです……
「クローイ……分かったわ、私は貴女の友達のつもり、一緒にミコ様の夜に侍りましょう、力を貸すわ」
「ねぇ、クローイ、泣かないで、二人で作戦を考えましょう、ね」
「ありがとう……」
「そう言えば誰の推薦なの?」
「任官課程を出ていない以上は、誰かの推薦が必要なはず、私は側女、佳人以上なら特定関係人としての推薦は一人で出来るけど、側女なら二人の推薦が必要、私以外に誰が推薦してくれたの?」
「トウキョウメイドハウスの富田沙織さん、ブレンダが推薦してくれたのを聞きつけて、もう一人必要なはずだからと、推薦してくれたの」
「富田沙織さん?余り親しくないけど、ミコ様のクラスメートで可愛い方よね」
「例の『盆踊り大会』で知り合ったの?」
「そう、なぜか好意を示していただいたの、ため息をつきながらだけど」
「私の耳元で、『望まれているのでしょう、いま通達が出ています、あの方の好きにさせるように、その際、女が出来ても仕方ない、あの方を誘惑できるほどの女なら致し方ない……滅多にない事なのです、まずは女など拾わせるなというのが通常なのですよ』ってね」
「あの『盆踊り大会』の裏は多少聞いているわ……そう、そういうことなの……」
ブレンダは何を思ったか、富田沙織にオルゴール通信を繋ぎます。
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