マルスの女たちⅢ ドリームガール 【ノーマル版】
ミスター愛妻
マルスの女たち 第三短編集 ドリームガール 【ノーマル版】
第一章 ミトリの物語 第33独立軽歩兵大隊
婦人部隊
ミトリ・ハゲルは、崩壊寸前のイスラエル南部軍が、市民を守りながら立てこもっているエイラートに派遣された。
そこでは最後の防衛戦闘が、『カラカル大隊』の生き残りで行われていた。
脱出の為に時間を稼ぐ『カラカル大隊』、やっときた輸送船には、お気楽にミコさんが乗っていた。
そして無事に脱出したものの、受け入れ先が見つからない、そこでミトリはイシスを巻き込んである提案をすることに……
* * * * *
「ねぇ、ミトリ姉さん、ミコ様と初めて会った時のことを聞かせてよ」
突然に妹のナオミが、声をかけてきました。
移転したばかりの、マルスのアメリカ地区にあるニューイーグルで、久しぶりにのんびり妹と、ベーグルとコーヒーでブランチをしている時でした。
この店はかなり有名なニューヨークのベーグル専門店ですが、いち早く移転してきているのです。
「初めて会った時?」
「そう、初めてエッチした時の話でもいいわ」
「初めてね……そういえば、ミコ様に初めてお言葉をかけていただいたのは、私のポニーになる?だったわね」
コーヒーを噴き出しかけたナオミ、
「すごいわね、で、どう返事したの?」
「間髪おかずに、お望みなら、と言ったわよ、内心はドキドキしたのよ」
「奴隷になる、どのような辱めも喜んで受ける、返事をした瞬間に身体がゾクとしたわ、その日の晩は大変だったのよ」
「ミトリ姉さんも、女ってことなのね」
「ミコ様に出会って、ときめかない女なんて、想像できないわ」
「ナオミは、最初は断っていたわね、神様がそんなことお許しにならないって云って」
「ミコ様がエッチの相手と理解したとき、ときめいたわ、でもまだ十八歳だったし、望んでいても、そんな返事はできないじゃない」
「身体のほうはミトリ姉さん同じ、神さまがお赦しにならない、と言いながら、内心は神さまにお赦しねがったわ、ミトリ姉さんが説得してくれた時はホッとしたわ」
「あれから二年ちかく、いまではこうしてチョーカーをいただいて、おかけで若さを保っているわ」
「ミトリ姉さん、綺麗よ、私だって二十歳になったのよ」
二人のブランチも終わり、ナオミが、
「今度、テラのイスラエルに行くのでしょう、大丈夫?」
「エルサレムでは、サービア教徒がジュノサイドをしていると聞いたけど」
「男は子供といえど皆殺し、女を売りに出しているらしいわ、ミコ様が鈴木商会に命じて、その女たちを購入させるらしいの」
「まだ、アカバ湾に面したエイラートは、陥落せずにいるので、ナーキッドが撤退の手助けをすることになり、そのために行くのよ」
「とても危険じゃないの!」
「大丈夫、チョーカーの魔力で、何者も私に手出しはできないでしょう」
「でも、ナーキッドの部隊は、ほとんどカムチャッカ方面でしょう、やっと片付いたばかり、どこにも戦力など、ないじゃないの」
「エイラートが陥落していないのは、イスラエル南部軍が立てこもっているの、背水の陣ですからね、奮戦しているようなのよ」
「でも……」
「輸送船は確保してあるの、例の巨大宇宙船、あれが一隻やってくるわ」
「なんでも外殻は硬くて、まず貫通しないと聞いているから大丈夫よ」
「それに早くしないと、フランスの核がどこかに落ちそうらしいの、急ぐのよ」
「それよりナオミは、今夜ミコ様のお側に侍るのでしょう、私は大丈夫だから、お風呂で念入りに体を磨きなさい」
翌日には、ミトリはアイスランドのレイキャネースへ、移住でごった返しているレイキャネースから、出来たばかりの試作機、『US―3不死鳥』に乗って、エイラートへ向かったのです。
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