めしを買いに

@char_chan

第1話 空腹

腹が減った、俺はそう思った。時計を見る。21時を過ぎていた。アプリのやり過ぎだ。素直に寝ておけばよかった。そんなつまらないことが脳裏をよぎる。

それにしても、この時間でこの空腹。何か食べなければ夜中に絶対後悔することは経験上よく知っている。空腹を乗り切る方法は2つ。空腹を抑え込んで寝るか、何かを食うか、だ。

オートミールなら、すでに昼間に食べている。もう一度オートミールでいくか?いや、それなりの量を食べようとするなら、牛乳がショートするに決まっている。家畜の餌のようなオートミールに牛乳を入れ、ハチミツを加えて人間のエサに昇華したものを食うのは嫌いではない。しかし、今晩はその選択肢をとることはできなかった。

しかたない、買いに行くか。一番近くの店はファミマだ。駅前店なのに、俺はこんな小さなコンビニを知らない。一度はampmとしてやっていたが、閉店した過去を持つ。また、いつ閉店するか分からない。店長の顔はいつも死にかけだ。できることなら、この店で買ってあげたい。しかし、この時間に期待するのは無理なのを知っている。ここは夜中の駆け込み寺的存在なのだ。夜分にここで食料を調達しようとするのは賢明でない。売れ残りしかないからだ。人など通らない場所でなぜ24時間営業してるのか。閉店しないことを祈る。

次の選択肢はローソンだ。ここに辿り着くには少し距離がある。寒い夜には自転車はこたえるだろう。だが、今夜はここで調達しよう。行き先は決まった。



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