知らなかった悲しみ

世の中の

悲しみを全部まとめて

一身に背負っている

そんな気になっていたけど

本当の悲しみは

まだ僕には

やって来てはいなかった


だけど

その深い悲しみは

何かを根っこで

断ち切ったみたいで

少しだけ気分が

楽になって

ああ

これが本当の悲しみ

どうでもよくなるような

強い諦めを伴う

あっさりとした

奥底をえぐる悲しみなんだと

ぼんやりと理解した


悲しみを悲しみと

感じないまま

時間だけが過ぎる

いいじゃないか

また次があるさ

忘れることなんて

難しいようで

でももう

何の期待もないなら

ほとんど忘れているさ


何もないところへ

また戻っただけ

喜びもないけれど

悲しみもない場所に

また座り込んだだけさ

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