不自然なほどの自然

金が必要だ

仕事が必要だ

家が必要だ

家庭が必要だ

趣味が必要だ

誇れるものが必要だ

愚痴が必要だ


僕はそんなものは全部

持ち合わせていない

不自然なほど

全てから遠ざかって

自由だ


それは

美味い料理は食べられない

いつも古びた服を着て

一人きりで

話し相手もいない

誰も僕の話を聞かない


しかし

それで何かが

失われているとは

思えないんだ

僕は自由で

不自然なはずなのに

自然に

何の負担もなく

生きている


ある昼下がり

公園を見た

春の暖かい日で

明るい日差しの下で

多くの親子連れが

遊んでいる

仕事も学校もないその時

極めて自然なその光景に

本当の幸福が見えた気がした

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