心が震えた記憶

自分の言葉が

初めて誰かに届いた時

誰かの言葉が

僕の言葉に重なった時

自分というものが

はっきりと形を持って

同時に

確かにここにいる

確かにそこにいると

相互の理解が成立して

相互の保証が確立されて

僕がここにいるという

当たり前の

それでいて曖昧な

一人ではわからない

真実が明らかになった

その真実に

心が奥の方から

ゆっくりと

震えた

一度

二度と

鼓動が起こって

生きていることが

まるで他人事のように

客観的に把握できた

今でも

僕の言葉が誰かに届く度

誰かが声に置き換える度

僕の心は

ゆっくりと

しかし確かに

震える

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る