隣の人

同じものを見ていた

見知らぬ他人の

隣の人と

急に意見を交換した


初対面

名前も

年齢も

どこの人かも

何も知らないけど

ただ一点

目の前の光景を見る

そのためにここにいる

それだけは

はっきりしていた


僕が首を振ると

心の中のボヤキが聞こえたみたいに

声をかけられて

僕の心の声は

本当の声になった


やりとりはそれだけ

挨拶もせずに

それぞれに席を立って

もちろん

二度と会っていない

これから先も

再会はおろか

すれ違うこともないだろうけど

あの人は

僕の中では

まるで他人ではない


同志

同じ価値観の

他人

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