雫が落ちる音

泣いている

そうと気づかずに

頬に触れた時になって

そこが濡れていることに

やっと意識が向いた


悲しくもない

嬉しくもない

ただ目の前の光景に

尊いものと同時に

一瞬の光を見て

それだけで何故か

涙が流れてしまう


涙することは

いけないことか

涙は綺麗なものか


はらりと雫が落ちた時

少しだけその涙に

尊さと刹那の命が宿る気がする


汚れとは無縁の

しかし特別なものでもないことが

涙が落ちた音を聞いた時

不意に心に浮かんだ

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