ありもしない安らぎ
帰る場所がない
そのことに気づいたのは
ある冬の日で
風が強かった
何かに包まれたいのに
その何かがわからなくて
じっとコートの襟に沈むようにして
風に逆らって
歩いた
誰かが待っているはず
誰かが迎えてくれるはず
そんなものは幻想で
誰もいない場所に向かって
歩き続けているのに
どうしても真実を
直視できなかった
温もりを求めて
歩き続けた
ありもしない温もりを目指して
一心に
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