電車が光を引く

立ち尽くして

真っ暗な窓の外を見る

街の灯りが緩慢に

時に一瞬で

流れていく


一番後ろの車両に乗って

そっとさらに後ろを見る


まるで電車が光の尾を引くように

眩しいほどの瞬きが群れになって

しかし一瞬で置き去りにされる

そこに次々と光が加わり

ひとつひとつが人がいる証なのに

まるで重さも形もないように

夜に溶けて

最後には見えなくなった


窓に映る自分の姿でさえも

一瞬

グラリと溶けて

置き去りにされる気がする

次々と移り変わる世界の画面で

繰り返し

繰り返し

溶けて

置き去りにされ

戻ってくる


光はいつも

置き去りにされる

そして終わらなく

流れてくる

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