スケッチ

僕の手が生み出す姿は

理想なんかとは程遠くて

筆を投げ捨てても

何故かまた

目の前の光景に向かって

筆を伸ばしている


美しいとか

可愛らしいとか

言葉でどれだけ表現しても

目の前のこの光景は

言葉ではとても足りなくて

僕はいつも情けなくなる


いつまで経っても

あなたは僕の前で振り返って

僕の世界では

その笑顔が一枚の絵になる

一瞬で消える

霧でできた絵画


僕の筆では再現できない

その絵画が

僕の心を震わせて

でも

あなたはもう僕の前から

走り去って

絵画もふわりと消えてしまう


僕の頭の中の一枚を

繰り返し

繰り返し

目の前に描こうとしても

僕の筆は

あなたの光を

決して再現できないのに


それでも僕はまた

筆を取って

そっと描き出すことを夢見て

手を動かす


またあの一瞬を

思い出したいから

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