ダークサイドオプス

ハイド博士

第1話 この美しい星、『地球』



 東部標準時 04:03時




ここは宇宙空間 と言っても地上500Kmの軌道上何も見えない音もない漆黒の世界



「メーデー、メーデー 

 こちらアトランティック

機関に重大な破損、ダメージ箇所35%を超えた。自力での帰還を断念。消火してラッキーにも機関の誘爆だけは防いだ。だが、緊急シュートが破損。船外へ出る為にはゼロリブリージングスーツでエアロックから出る方法しか残されていない」



こんな緊急事態に通信機の向こうから返事が聞こえてきた


「こちらアメリカ宇宙軍。座標は既に知っている。直ちに近々の部隊を救出班として送る」



ホーマン軌道上にはすでに司令部から報告を受けた救出チームの宇宙船が推進剤を噴射し高度を500Kmにとろうとしていた。


丁度良い具合に自転上夜明けの時間となり112分間の昼の時間に入っていた。だが破損した船からすれば喜べなかった。船体に直接太陽が当たり、表面温度は急激に上昇してしまうからだ。


それ自体は大した事じゃない。−150℃から+120℃になる事で漏れ出た燃料が気化するのがアトランティックの生き残りにとっては懸念材料だった。




 同時刻 東京 霞ヶ関



日本はこの時刻は昼で自衛隊の拠点である防衛省はいつもの冷静さがあった。武官である伊藤は事務官である高橋の席の前にいた。


「伊藤さん、我が省もようやく宇宙専門隊を持つようになったがまだ240人だ。」


「高橋、もう2027年なんだ。日本はまだまだこの程度だけとなぁアメリカ宇宙軍は宇宙空間に部隊を配備したらしい」



 正式に発表されていないが暫定的に部隊を配備すると一部報道が流れてまだ数週間だが噂はすでに防衛省内に広がっていた。


「高橋君はどう思う?眉唾物だがロシアの宇宙航空軍も部隊を展開させているという噂の方は知っているか?」



噂とは怖いものだ。広まるだけではない。この場合多くの国との関係もある高橋は少し怪訝そうな顔をしながら伊藤の話を聞いていた。そして、一言だけ答えた。


「伊藤それは時期尚早だと僕は思う」


その時は気が付いていないのだが宇宙空間で今何が起きているのか地上で何が起ころうとしているのかまだ誰も知らなかった。




日本時間 15:50



ここは東京から500㎞以上離れた東北地方のとある場所。機密事項とだけ言われて杉田はこの地に来ていた。こんな場所に何があるのか。黒塗りの公用車から降りた杉田は


「一体、なんだっていうんですか。アメリカの情報と何か関係があるのでしょうか」


「だからね、杉田君。【機密事項】なんだよ。とりあえずブース内に入ってもらえば分かるから」


杉田に話しかけたのは政府の職員だった。彼の名前はおろか官職名も伏せられていた。一体何が起こっているのか。しかし、ブースと呼ばれる厳重に警備が敷かれたとてもセキュアな施設があった。建物内に入って気付き始めていた。


「何だここは、JAXSの施設じゃない。自衛隊の施設なのか」


そこには確かにこう書いてあった。


【航空宇宙自衛隊】と



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