31 神室 一期

俺?

どうして?


この絵を俺が描いた?

意味が分からない。


もちろん覚えがない。


しかし、もしかして、俺の記憶がない時にでも描いたのか?


レナを見る。


「kamuroはあなた」

と言うレナ。


どういうことだ?


「名前を見たんだよレナは」

と言うロディ。


 レナが言うには。

レストラン前で、俺をヴィクターの矢で撃った時、

俺をワープして助けたのはレナだった。


その時、認識したらしい。

俺のkamuroという文字列を。


これが俺の名前か?記憶を失う前の?


そうなのか?


―――しかし、だからといって。

何かが前に進んだというわけではない。


謎に戻る。


それでは、絵の主が俺(神室)だとすると、


(神室の世界に、雨降る時)

って事になる。


俺(魔王)の世界。

つまりは魔界。


魔界に雨?


俺の世界。

 あの紫と黒の世界。

あそこに雨が降るというのか?


どうやって?


しかし仮にそうだとしても。

あそこに行く魔力は、俺にはもうない。


それに、行けたとしても、雨を降らす手段なんて知らない。


頓挫した。


俺たち3人は思慮に耽る。


その時。


(ガタン!)

と大きな音。


「!?」

これは、扉が開かれる音だ!


まずい!気づかれたか?


そうだとしたら、ここは袋小路。

逃げ道がない。


俺は慌てる。


今やここから脱出する方法は、レナのワープくらいか?


しかし逃げたとして。

何か他に行くところがあるのか?


いや、ない。


ではどうする?


追い詰められていた。

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