23 レナとヴィクター(レナside)

 ここは教会の礼拝堂。


そこには数十人の信者たちと住民がいる。

 祈りをささげている、前には書物を手に持ったヴィクター。

あの神室に攻撃した魔導書だ。


 今、信者達に祈りの言葉を読んでいる。

これは街の戦争で亡くなったものたちへの祈り。

毎日ヴィクターが行っている。


 そこには、レナも居る。

皆と同じように目を閉じ、祈っている。


 それはいつもの日課だった。


しかし、今日、いつもと違う事が起こる。


 それは


レナが突然立ち上がる。


そして礼拝堂の前へと歩き出す。


「?」

 皆が注目し不思議がる中。


レナはヴィクターの横に立ち。


「私にも祈らせてほしい」

と言う。


 ざわめく礼拝堂、

そしてヴィクター。


「レナ。どうしたんです?」

ヴィクターは初めてだった、

そんな事を言われたのは。


 祈りの時間に、話しかけることは、本来ダメとされているからだ。

「レナ、それは」

ヴィクターは断ろうと、レナを席に戻そうとする。


しかし

「読みたいの、テリオスのために」

と強い口調と表情で言う。


静まり返るその場。


 すると、教会に居る数十人の信者と一般人から拍手が起こる。

それはやがて広がり、周りに拡がった。


「・・まあ、良いでしょう」

と不満げに言うと、

ヴィクターは仕方なく、レナに本を渡す。


そして、レナが祈りの言葉を読み始める。

____________


その夜。


「レナ、なぜあんなことを?」

教会の一室でヴィクターがレナに問いかける。


「ごめんなさい」

謝るレナ。


「いや、いいんですが。これっきりにして下さいね」

と言い。レナは本を返す。


そしてヴィクターは

「もう疲れたでしょう、寝なさい、レナ」

と言う。


(コクリ)

と頷くレナ。

そして、ヴィクターは部屋を出る。


レナはベットに腰かけると、


(フー・・)

と目を閉じながら息をつく。


そして少しの間、止まると。


目を開ける。


そして


「準備が出来たわ、ロディ」

と言った。

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