織田信勝

俺は岡崎城に住まうことになった。快適な生活を送らせて貰っている。

まあ一城の主にもなると、家臣もそれなりに増えて大変ではある。


そして那古野城に信長、岡崎城に匠海という二城体制で今は何とかやっている。

用がある時は、どっちかがどっちかの城に来ているが。

あー、通信機器とか作れねえかな.......とか思うが。流石に化学の知識は

そこらの中学生レベルなので作れない。



さあ、少し尾張国内のことに目を向けよう。

織田信勝おだのぶかつという人物がいる。

信長に聞いたら「誰それ?知らん」と言われたが。


織田信勝。織田信行おだのぶゆきと言っても分かる人がいるだろう。

信長とは同じ信秀から産まれた兄弟だ。信長が信秀の次男で、信勝が三男。

長男の事は少し話から弾かせてもらう。


普通なら次男と三男ならこの時は次男が家督を継ぐ時代だ。

つまり、信長が家督を継ぐのが普通なのだがこれに信勝は不満を持っている。

信長が普通の兄なら文句は言わないだろう。しかし、信長は

だった。

うつけ……馬鹿くらいの意味で捉えてくれればいいが、バカが自分の家を継ぐとなると弟の身として反対するのは当然。だから、信長を潰して自分が当主となりたいのだ。


信勝からすれば、織田家の存続と自身のメンツの為に信長から当主の場を奪いたいのだ。

しかし、信勝にはいくつかの障害がある。織田信秀と斎藤道三だ。

この二人が信長を良い扱いにしているために迂闊に近づけないのだ。

ここで信長を討とうとしても失敗するだけ。

と、なると信長の身辺で一番弱くて潰しやすいところは

「この俺って訳だ」


俺の予想だと近いうちに信勝がこの城まで攻めてくるだろう。

俺が信長の援軍を呼ぼうとしてもある程度の時間がかかる場所だ。

信勝からすれば絶好の決戦地。そこを返り討ちにする。

城の四方に鉄砲を撃つための柵を設置して、鉄砲を大量に南蛮から輸入した。

俺がやるのは面倒だったので、全部家康にやらせたが。

ギリギリ日本に鉄砲が来ていて良かった。

輸入は南蛮の宣教師、フクロムのおかげで容易く行えた。

後はこの城で待つだけだ。


「でも殿、確かに作は素晴らしいですが本当に織田信勝は来るんでしょうか?」

家康が心配そうにこちらを見つめてくる。恐らく、自分が信勝に悟られずに上手くできたか……というのを心配しているのだろう。

「大丈夫さ。家康もちゃんとしてくれたし」

家康の顔が明るくなり、またどこかへ出かけていった。

8歳なのによくやるよ……と思いながら俺は寝るのだった。

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