捨てられないもの

かのこ

捨てられないもの

人の大事なものってその人それぞれに違って。

例えば、これは自分が持ってるものの中で一番高級だから大事、って言う人もいれば、これをもらったときにこんなエピソードがあって、見るたびにそれを思い出すから大事、って言う人もいる。他人から見ればごみのようなものでも、それぞれに大事な理由があるんですよね。

私にとっての、大事なものは、学生時代から集めているスクラップブックです。

差し込み式のファイルに差し込める限りのクリアポケットを差し込んで、現在一冊3~4㎏ぐらいありそうなファイルが一冊とちょっと小振りが一冊。葉書のファイルが一冊と、写真サイズのファイルが一冊。

学生時代から雑誌や広告、商品カタログやフライやーで気に入った写真や絵やデザインのものがあるとなんだか捨てられなくて、ファイルに納めていって、数十年たった今、結構な量になりました。

元々は一冊のファイルだったんですよ。そこにどんどん入れていって、もう入れるところもなくなった6㎏。もう新たなファイルを作った方がいいとの強い勧めに、確かに、と思いサイズ別に分類して4冊に分かれました。

多いのは、映画のチラシや、特別展や舞台のチラシ。雑誌の切り抜きなんかも多いです。世の中かわいいデザインやかっこいい写真がいっぱいあって、焼き菓子やチョコレートの箱に入ってる商品紹介の冊子も凝ったデザインのものがあったり、すぐ捨てるはずの服のタグでもかわいいものがあるんですよ。ファーストフード店の袋も期間限定になると気になっちゃうし、フリーペーパーもフリーのはずなのに読みやすかったりかわいかったりで、デザインにこだわってるな、と思うと切り抜いて入れてます。

ま、私デザイナーでもなんでもないんですけどね。

今や4冊になったこのファイル。見てるととても楽しい。なんたって、私の好きなものしかはいってないんですもん。

どのページをめくってもこれちょっと違うんだよな、と思うこともなく見れるんです。いいでしょ。

しかもこのファイルって学生時代から数十年積み重ねてるので、今や人気の俳優さんや女優さんの若かりし頃の取材写真が出てくることもあるんです。自分で入れておきながらビックリですよ。残念ながらいつ、どの雑誌から発売されたとかの記録は書いてないので、いつのものかわからないんですが、十代かなと思わせる若いお姿を見つけるとなんだかラッキー。

そんなこともあって、中のスクラップがなかなか捨てられないのです。だって、捨ててしまったらもう二度と再会することができないんです。やっぱ捨てなかったらよかったって思うの嫌じゃないですか。

そうなるとどんどん分厚くなっていって、長生きすることができたら、いったい何冊になっているのか。ちょっと楽しみなので、そう簡単に捨てれないですね。

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捨てられないもの かのこ @kanoko

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