ベテルギウスを見られるうちに

夏が来れば蝉の声

秋が来ればコオロギやスズムシ

毎年同じに見えても

あなたたちは、去年のあの子たちとは

違う命なんだね


今日もコンビニでお気に入りのお菓子を買う

パッケージは時々変わるけど

いつも変わらないこの味

でもこのお菓子だって

この間私が食べたのとは別物


毎年訪れるクリスマスの雰囲気も

子供たちが大きくなり

また子供が生まれて

みんなにとっての意味や思い出が

どんどん変化している



突然「終わりです」と言われると

なんだか切ないな


あの店が閉店するって

あの漫画が最終話だって

あのサービスが終わるって


今まで数限りなく

小さな別れを体験してきたのに

それに気付いてすらいなかったのに

見向きもしなかったのに


突然「終わりです」と言われると

なんだか切ないな


だから……


今生きている、あの虫の声を聴こうか

あの鳥を

あの花を

あの雲を

今一瞬の、この出会いを



ベテルギウスはいつまで光るだろう

私が死ぬときまで変わらず

そこにいてくれるかな


いつ終わりが来るか分かるのなら

終わりが来る前に

ありがとうと言えるけれど

別れを惜しめるけれど

私には分からない


分からないからこそ……


今日を共に過ごしてくれて、ありがとう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る