第21話
「え~、来週から始まるクラス研修の班分けをしたいと思います」
来週から始まるクラス研修は二泊三日。
山の中の研修場で二年生と三年生が交代で行う。
二年生はクラスメイトとのコミュニケーションを図るため、三年生は名目上は勉強合宿になっている。
「男女混合の班分けをくじ引きで決めたいと思います。じゃあ、出席番号順にくじを引きに来てくださいね」
先生に言われ、皆はくじを引き始める。
大体男子三人女三人の計6人の班になる。
なるべく知ってるやつと一緒の班が良いが、こればっかりは運だしな……。
俺にも順番が回ってきたので、俺はくじを引く。
「四班か……」
「おぉ! 琉唯! お前も四班か! 俺もだぜ! いやぁーやっぱり俺たちって縁があるんだなぁ~」
「おーい、誰か俺と班変わってくれー」
「おいコラ! それはどういう意味だ!!」
まさかの強と同じ班かよ……。
クラス分けといい、こいつとは変な縁があるな。
まぁ、しかし他の奴がまともならそれで良いか。
「ん……四班」
「お前もか……」
八島までかよ……こうなってくると、なんかもう一人一緒になりそうなやつが……。
「あら? 私も四班よところで私はもちろん女子枠よね?」
「んなわけあるか」
やっぱり早乙女もかよ……メンバーが知った奴ばっかりってのもなんかなぁ……。
ともかく後二人の女子はまとま奴であってほしいが……。
てか、八島は他の女子二人と仲良くやっていけるのか?
こいつ、クラスの女子と全然話しないしな……。
「残りのメンバーはどちらにしてもまともな奴であってほしいな……」
「どういう意味だ!」
「私たちだってまともでしょ!」
「エロゲーマーとおかまをまともとは言わねーよ」
そんな話をしている間に班のメンバーが決まった。
俺の班は最終的に俺と強と早乙女、そして八島とクラスの女子が二人なのだが……正直のこの二人のことはよくわからない。
「えっと、高石さんと横川さんだっけ? よろしく」
「うん、よろしく」
「よ、よろしくお願いします!」
高石智鶴(たかいし ちづる)と横川久美華(よこかわ くみか)。
どちらも俺はあまり話たことがない。
見ただけの印象を言うと、高石は穏やかでおっとりしている印象だ。
横川はおどおどしている感じの子だった。
教室では良く本を読んでいた。
まぁ、八島よりはまとまな女子だと思う。
「おいおい、クラスでも結構可愛いと噂の二人だぞ! しかも
八島まで一緒の班だ! この班辺りかもしれないぞ!」
強が俺に耳打ちをしてきた。
「はぁー、どの子も化粧の乗りが悪いわねぇ……お肌の手入れも不十分だし、やっぱり私が一番きれいね!」
「はいはい」
綺麗だとか可愛いとかは置いておいて、見る限りこの二人はまともそうだ。
「はーい、それでは班ごとにクラス研修での役割を決めてくださいねぇ~」
先生の言葉通り、俺たちはクラス研修での役割を決め始めることになったのだが……。
「いや、もうお前でいいだろ」
「なんでそうなる!」
強の言葉に、俺は思わず椅子から立ち上がる。
なんで俺がそんな事をしなくてはいけないんだ!!
俺だって面倒な仕事はしたくない!
「だって、お前どうせ暇だろ?」
「んなこと言ったらお前もだろ!!」
「いや、みんなあんまりやりたくないみたいだし、他の班もじゃんけんで決めてるみたいだし、それならどうせ班長はお前だろ?」
「だからなんでそうなる!!」
「だって、お前……絶望的にじゃんけん弱いじゃん」
「そ、それは……」
確かに俺は強の言う通りじゃんけんが弱い。
狙っているのかと言われるほど、綺麗に負ける。
「や、やってみなきゃわからないだろ!」
「はぁ……時間の無駄だと思うけどなぁ……」
「良いからやるぞ! じゃーんけーん……」
負けた。
見事に負けた。
てか、なんで俺だけパーを出したんだ?
そして皆なんでチョキを出す!?
「はぁ……」
「元気出せよ、どうせお前になってたんだ」
「別に班長くらい良いんだよ! なんで俺はじゃんけんがこんなに……」
「それは多分、お前が弱いだけだ」
結局班長になってしまった。
はぁ……面倒だな……。
「はーい、それじゃあ授業はここまで! クラス研修まで同じ班の人達と仲良くねぇ! あ、後……変にラブコメチックなことはしちゃだめよ? 先生、今そんなもの見たら嫉妬でおかしくなるから!」
あぁ……先生、まだ別れた彼氏の事を気にしてるんだ……。
「……ん」
「ん? なんだよ八島」
「…………呼んでる」
「はぁ?」
八島は俺の服をつまんでそう言ってきた。
俺は八島の指さす方を見る。
すると、そこには同じ班になった横川さんがいた。
「あ、あの……ちょっと聞きたいことがあって……その……」
「聞きたいこと? 一体どうした?」
横川さんが俺に?
一体何のようだろうか?
横川さんとは今日初めてまともに話したし、今まで話をしたこともない。
一体何の話だろうか?
「あのさ……き、木川君って……もしかして……男の子が好きなの!?」
「はぁ?」
全く予想していなかった質問に、俺は疑問を浮かべる。
てか、なんでそうなる!?
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