綾子 第三部 少女の夢 (累計PV2500超え)1/10観覧停止

宮上 想史

第1話 その一

少女の夢

 少女が窓際の椅子に座って景色を眺めている。

 陽光が彼女を照らす。

 部屋の中に風がながれて空氣は澄んでいる。

 すんだ風が、彼女の髪をゆらす。

森の音が流れてくる。

 心地よい緑風で木の葉がなっている。

 彼女の名はエヴァンジェリン、愛称はエヴァだ。







 空に大空に飛んでいる。鷲のように。鳥、鳥だ。雲が流れ、風がながれ、私は流れていく。私はイワシ、イワシだ。この空という大海原を泳ぎ回るイワシ!

 このすんだ青い。なんて青いんだろう、わからない……けど青い!

 私は叫ぶ、力の限り!愛してほしい、愛して!愛して……ああ、なんて自由なんだろう。なんて素晴らしいんだろう。なにもかも私の自由、何をするのも私のかって。

 私は誰にも止められない。

 私を止められるのは私だけ。

 けど止めない。止めちゃいけない。止められるものか!

 氣持ちが溢れてくる。涙が溢れてくる。この感情の洪水。ほとばしる。どうすればいいの。どうすれば……わかんない!

 ゼロが最速?0がさいそく?そう、私は空中で静止している。

 海で止まっている。私より速い者は存在しない。私は最速。手も足も使ってはいけません。私は蛇。

 お兄様、ご機嫌よう。あれ?何をやっているの。総一と何やってるの?

 あ、いけない……それはいけないこと、見てはいけない……けど見たい、みたい。ああ、もっとみたかったのに。あ、空にカレーが飛んでいる、シチューも!餃子、サラダ、バター、にんじん、ジャガイモ、タマネギ、しいたけ、お肉、にわとりが空を飛んでいる。ロールキャベツ。

 空はどんよりとした雲に覆われ始めていた。風は荒(すさ)び、雨が降りだす。龍神様のお怒りだ。まるでこの曇りはゴマのペーストのよう。なんで太陽が、見えないのに真っ暗闇にならないんだろ。なんで?まあいっか。そうゆうもの。ものごとはそうゆうもの。考えても

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る