要らない人間関係は捨てる、たとえ肉親でも

要らない人間関係は捨てる。


これも加藤諦三の「だれとも打ち解けられない人」からだ。

「喧嘩をするということは、その人を『捨てる』ということである。うつ病になりやすい人は『捨てる』ということがなかなかできない。『あの人はもういい』と心の中で『捨てる』、これがエネルギッシュに生き延びるためには、どうしても身につけなければならないことである。」

「執着性格者には、過去を振り返って、自分の意志で歩いた自分の道がない。だからこそ、今迄歩いた道に執着する。途中が空だから、歩いた距離に執着する。過程が空だから成果に執着する。自分の意志で歩いていれば、歩いた満足感はある。だから歩いた道の成果に執着しない。」

 絵理はずっと不思議に思っていた。何かしら賞を取れなかったら自殺を考えていたのか。自分は死ぬのかと思い戦々恐々としていた。自分で好きでやった事ではなく、周りの評価の為にやってきたかと思うと少し悲しくなった。

しかし世間の評価は虚の世界。最後は自分も死ぬ。だから生きている今、失うことを恐れない。


「うつ病になるような人は、過去が虚しいから、その過去を埋め合わせようとする。過去が虚像。その過去の埋め合わせ方が、また間違ってしまう。あくまでも仕事の業績や利益で埋めようとする。心のふれ合いというコミュニケーションをすることを考えない。

 過去の不満を満たすための今。そうして生きていると、振り返った過去がずーっと虚しい。今のための今がない生き方。執着性格者は、その努力が無駄になる事が悔しい。その努力が、その場で成果を生み出すことに執着する。それは努力の過程が楽しくないから。

 関心と興味で動いている人は、すぐに成果を上げようとしていない。人間、最後はすべてなくなる。執着性格者はそのことがわかっていない。」


「仕事をしていないと不安だけれども、仕事をするのも嫌。」(まさにそうです)

「いっそのこと死のうとした。でも死ねない。」(まさにそうなんです)


「もう十分私は頑張った。これ以上望まない。『あー、こんなことをしなくてもよかったのに』と後悔するのではなく、『これもまた私の人生』と今を受け入れる。(中略)自分の今のコミュニケーション能力で良い。自分が今のコミュニケーション能力しか持てないでいるのには、育った環境とか、それなりの理由がある。」


「うつ病になるような執着性格者は、だれにも守ってもらった体験がない。真面目にしている以外に自分を守る方法がない。人を信じられない。だから人と打ち解けない。小さい頃から自分の事を言えなかった。そして相手に合わせてきた。うつになる人もいれば、家庭内暴力に走る人もいる。」(うわあ、まさにそうなってしまったわ)

「いつも何かに怯えている。そうして人が自分をどう思っているかが気になってしょうがない。しかし自分の意志を伝達し、自分の意志と力で自分を守ろうとすれば、怯えがなくなる。(中略)『自分を守る』とは、他人とコミュニケーションする事であり、自己実現する事であり、好きなことを見つけることである。」


 絵理はこれまで沢山人に出会ったが、沢山「捨てて」きた。大切な人さえいれば良い。誰からにでも好かれる訳ではない。


 絵理が「相手に不愉快ならはっきり伝えよう」と「いらない人間関係は捨てる」勇気が持てたのはこの本のおかげである。だって、こちらが我慢すると、向こうはそれが当たり前になる。こちらが低姿勢に出ると、相手は傲慢になるからだ。「もう嫌われてもいい」「自分はどんなにひどい人と言われてもいい」とこれまで覚悟してやってきた。

 この先、彼も「捨てる」時が来ると思う。それで構わない。

 絵理は自分が捨てた人間に対して後悔は何一つ残っていない。全員自分のためにならないと思って捨てたからだ。曽野綾子さんも「世間からどう思われてもいい。人間は確実に他人を正しく評価などできないのだから、と思えることが、多分成熟の証である。」と言っているんだし。


 弱者が戦い、強くなるとその人の人生は素晴らしいものになり、豊穣な人生が待っている。乗り越えた苦難の量だけ豊かな人生になる。少年ジャンプっぽいけど。


 天から与えられた才能や可能性を、最大限に使って生きるのが人の責任である。

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