セレブガール・ミーツ・ボーイ その8

「九月七日はカナの誕生日でしたね。ご予定は?」


新学期が始まってすぐ、私はカナ、イチコ、フミの三人に尋ねてみました。夏休みに、三日間別荘で同じ時間を過ごした私達は、それまで以上にお互いを身近に感じていました。ただ、私としては彼をお誘いできなかったことが心残りでしたが、さすがに小学生のお子さんをお預かりするには用意が十分ではありませんでしたのでそれについてはいずれまた機会があればと思います。


なので今はカナの誕生日の件が大切ですね。


「そうだった。でも、平日だからな~、その後の日曜日とかの方がいいと思うんだ」


カナがそう答えます。確かに今年のその日は平日ですからね。では、後は場所ですね。


「日曜だったら元々うちに集まる日だし、うちでいいと思うよ~」とイチコ。


「じゃ、それで決定~」とカナ。


「りょうか~い」とフミ。


という感じであっさりと決まってしまったのでした。やはり皆さん庶民ですから、その方が落ち着くということでしょうか。まあいいでしょう。私としても彼に会えるのでしたらどこでも構いませんし。


今回は彼が好きなミニカーで遊べる、ビル型の玩具をすでに用意させていただいています。


もちろんカナにもプレゼントは用意します。音楽ゲームの最新のソフトをご用意させていただきました。


場所はイチコの家。時間は午後二時、おやつだけの質素なパーティということでした。いえ、パーティですらない気がします。結局、皆さんただ集まりたいだけなんですね。まあいいでしょう。おやつとして私の方でちょっとしたデザートを用意させていただきましょう。




カナの誕生パーティの当日、わたしは予定の時間より早くイチコの家を訪れました。先に彼へのプレゼントをお渡しするためです。荷物が多くなってしまったので少し大変でしたが、彼に会えるなら苦にはなりません。玄関のチャイムを押すと、家の中から「はーい」という声が聞こえてきました。その声を耳にした瞬間、私の体温が上がった気がします。ふわふわとした気持ちになり、地に足が付きません。


「あ、ピカちゃんだ。いらっしゃい」


扉を開けてくださった彼が私の姿を見た瞬間、にっこりと笑ってくれました。


『はにゃぁあああぁぁあぁぁああぁ~♡』


などと、有り得ない声が漏れてしまいそうになるのを必死にこらえます。


彼の笑顔を見ると膝に力が入らなくなり、その場に崩れ落ちそうにもなるのを耐えて、「こんにちは」と挨拶をさせていただきました。そしてまず抱えていた荷物を玄関の上がり口に置かせていただいて、


「はい、これ、ヒロ坊くんへのプレゼント」


と、彼へのプレゼントを渡させていただきました。


「やった~。ありがと~」


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