第5話 日記を書く

入院して、4日くらいは、ずっと由加里さんといた。


だからか、寂しさはなかった。


由加里さんはいろんな人に声をかけ、私はそれについてまわり、男女関係なく、夜までUNOをしたりトランプをしたりしていた。


だからか、病院での生活のサイクルが早かった。


朝6時の起床、8時の朝食、

12時の昼食、14時の作業療法、

18時の夕食、20時の就寝。



病棟をグルグル歩き回る人を見て、ここにいる人はみんな孤独だ、と思った。


本当は音楽プレーヤーがあればよかったのだけど、音楽プレーヤーはなくて、ラジオをずっと聞いていた。ラジオからでも音楽は流れる。

スマホもなく、パソコンもない、タバコもない、この生活。

昭和時代みたいだった。


自由時間は、長かった。

私はいつも思う。

時間って長いなぁ、と。


一番大きな画面でテレビを見ているおばあちゃんがいつも隣の席を空けてくれて、並んで座っていると孤独にならずに済んだ。というより、居心地がよかった。


その夜から、私は日記を書くことにした。

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