クラゲ生体記

@ko22

第1話 ありのまま

12月3日。


私は、問診を受けていた。

「精神保健福祉法によって、あなたは入院となりました」

「はい」


入院…。


この時の私は、正常と異常の判別ができなかった。無論、暴走機関車を運転しているような状態だった。


ひと月に1回の精神科受診が2週間に1回となり、

今日、ついに外来から入院することになった。


親に付き添われて、荷物をまとめて、病院へと向かい、私はこれから入院することを告げられ、入院する運びとなった。


場所は、閉鎖病棟。


なぜ私が閉鎖病棟へ入院することになったかといえば、私はずっと「うつ」症状と戦っていたからだ。

仕事をしても続かず、だんだんと幻聴が聞こえ、夜に徘徊し、男性依存へと陥りかけ、家でタバコばかり吸っていた。

薬を少し多めに飲んで寝て、それから、夜に出歩く。

そんなことをしていれば、危ないと誰もが思うだろう。

でも、私はどうなってもよかった。

電気コードで首をしめようとしたり、親がいなくなるんじゃないかと泣いて、一緒に寝てもらったりした。

自分が不安定なのは、わかっていた。

けれど、どうすることもできなかった。


19歳の時、

私は一度閉鎖病棟へ入院している。


消えたい願望は強く、14歳くらいからリストカット常習者となり、9針手首を縫うという出来事を起こしたり、ODをした経験もある。


19歳で短大を中退し、実家に戻って、すべて終わらせたい、と思った。錯乱したなかでの自殺未遂だった。

今と同じように、未来に絶望しかなかった。

光が、見えなかった。

人生が終わったように思えた。

実際、終わらせようとした。


けれど、

閉鎖病棟に入院したことで、変化があった。


自動車の免許を取得して、一人暮らしをして、短大も卒業できた。

確実に、ステップアップはしている。


でも、一人暮らしは長くは続かずに、お金が底をつき、実家へと戻ることになった。

仕事を見つけても、続かない…。

うまくいかない…。

出口の見えないトンネルのようだった。

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