私は脂肪を身に纏っています。
山葡萄
第1話 過食
メイドの田中と佐藤が貯蔵室でなにやら噂話をしている。
「最近のお嬢様はいかがなものかと…?」
「田中さんもやっぱりそう思う?とても口にはできないことだけど、お嬢様は最近よくお召し上がりになるとは感じていましたがまさかあそこまでとは…今朝のお嬢様はすでに別人です。」
「もうお嬢様というか…白いブタが…」
「こら!口を慎みなさい。お嬢様をブタなどと例えるなんて言語道断ですぞ。罰当たりな!」
棚の奥から執事の下塚が顔を出す。
「でも、お嬢様が心配です…」
「私たちは、お嬢様が生まれる前からこの御屋敷に使える身分。旦那様の亡き後一人娘のお嬢様はご心労がおありなのです。食事も最近では、カロリーの少ないものや豆腐やおからでかさ増しのものをお出しするよう調理人にはお願いしてある。間違っても先程のようにお嬢様の外見を口にすることのないように!」
コツコツコツと下塚の靴の音が石畳の貯蔵室に響き渡る。
すると途中になっていたワインの在庫管理作業を始めた。
メイドのふたりは、しばらくお辞儀をしたような体勢から顔をあげると一目散に貯蔵室を去っていった。
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