まだ見ぬ君と紡ぐ赤い糸の伝説

シャーロット

始まりの場所

第1話 『出会いそして突然の別れ』

赤い糸の伝説

『赤い糸は 運命の人と 小指と小指でつながっている!! 生まれる前からたった一人の運命の定まった人がいる』


そんな言葉が俺の心の中に芽生えたのは何時の頃からだろう・・・

気が付けばそんな言葉が何時の間にか口癖になっていた俺


今まで何人もの女の子から告白を受けたけれど・・

誰一人として俺の心は動かなかった

動かせなかった!!


告白される度

『俺の運命の人はこの子じゃない!!』

俺の心の中で声がそんな声が聞こえてくるんだ

どんなに綺麗な女の子でも・・

どんなに魅力的な可愛い子でも・・・


『俺の心は一度としてときめいた事は無い・・』

今までは!!


俺は


松浦 裕翔まつうら ゆうと15歳

身長 181センチ

今日は 長かった高校受験を乗り切って、青山高校の入学式

この青山高校は有名大学進学率一位の超~難関の男女共学高

噂では帰国子女が結構多い?って聞いたが・・


運命の人以外に興味の無い俺にはどうでも良い話だ!!


新宿から電車に乗って此処、品川駅で降りて徒歩10分位の所に青山高校は有る。

品川駅で怒涛のような混雑の電車の中から吐き出されるように駅の構内を抜けて品川駅の前まで押し出されるように足早に歩かされて?そう人波に合わせていたらそうなってしまってた。


これから毎日こんな風に通学すると思うと気が重くなるぜ・・・

よくもまあ~こんなにも人が居るもんだ・・


『はぁ~』


っと深い溜息を思わず吐いてしまう俺

何千人と歩いている人・・人・・人・・・

こんなにも人間が居るのに・・


『俺の運命の人は・・』


辺りを思わず見回してみるが


『居ないな!!』



その現実に

『はぁ~』

っとまたまた深いため息が出てきてしまう。

それにしても


周りは


ビル!!


ビル!!


ビル!!


ビルばかりだな

俺はそんなビルに囲まれた風景に落胆しながら

こんな所でじっとしている訳にもいかないよな!!

そう思い青山高校への道を歩き出す。


青山高校の近くには明治大学や東海大がある為か、大学生も多いがやはり青山高校の近くという事もあり、やっぱり紺色のブレザー、そしてそのブレザーの下にはクリーム色のカーディガン、そして短めの赤と紺のチェックのスカート姿が目を引く!!


ヤッパリ思秋期真っ盛りの俺でも下着が見えそうで見えない短いスカートは凄く気になる・・


スカートはロマンだ!!でも男はしっかりとスラックスだぜ?多分

中には男でも女子制服を着てる奴がいるかもしれないが・・・

まさか、着ぐるみ剥い確認なんて出来ないから、見た目だけだぜ?


帰国子女も多いって聞いてはいたが・・

俺の20人くらい前に腰までありそうな金色のストレートの髪をふらふわと風に靡かせた青山高校の真新しい制服を着た女子高生の姿がふと俺の目に入ってきた。


その瞬間


『チクッ』


っと俺の左手の小指の付け根に痛みが走ると同時に


『俺の胸の奥がズキン!!っと痛む』


俺は直ぐに左手を目の前にかざして異常が無いか確認したが・・・


何も変わった事は無い?よう・・

『赤くもなってない!!』


気のせいか?


と思って再度前を見た時には、そこ女子生徒の姿は無かった。

見失った!!


そう思った瞬間


くっそ!!

何で後ろ姿だけなのに、こんなにも気になるんだよ!!

俺は彼女の姿を見失った事に無性に腹が立っていた。


それは胸の奥が痛んだから?

今までに味わったことのない気持ち・・

その気持ちに俺は動揺したのかもしれない。


彼女の姿を見た瞬間から俺の意識はフェイドアウトしていたのだろう。

彼女の姿を見た瞬間から、俺は歩道の真ん中で立ち止まってしまっていたみたいだ。

気が付くと、俺を左右に避けて学生達が通り過ぎてゆく風景に気がついて再起動。


彼女の姿を見失ってしまった悲しみを押し隠して青山高校の道を再度歩き始めた。


暫くすると、青山高校の正門が見え始め、青山高校の制服を着た男女の姿がその正門に吸い込まれてゆく光景が目に入る。

俺もその生徒達と同じように正門を潜って正門内に入ると


「新入生はこちらで受付をお願いしま~~~す」


と爽やかな女生徒の声が聞こえてくる。

その声のする方を見ると、


『青山高校1年新入生受付』


と書かれた縦看板の横に折畳み机を2本並べて置かれた新入生受付ブースが作られて


おり数名の女生徒と2名の先生が対応していた。


俺は先生らしき女性の前に立ち


「新入生の松浦 裕翔です」


と告げると名簿を見ながらチェックして

「松浦 裕翔君ですね。1年A組です」

と言って名札を手渡しながら


「松浦 裕翔君は新入生代表となっていますので新入生代表挨拶をお願いしますね。


あ~例文はこちらで用意しておりますので、殆ど丸暗記で良いですよ?」


そんな言葉に


『おいそれで良いのか?』


思わず突っ込みたくなってしまう俺

まあ世間はそんな形式ぽい事でなりたってんだろうな

なんて冷めた気持ちの俺に


「では入学式の進行を説明致しますので、こちらにきて頂けますか?」

と強制的に俺は拉致られて応接室で一応の説明を受けいざ入学式生本番


校長先生恒例の長~~~~~~~~~~い、有り難くない挨拶が終わった後

俺は新入生代表として体育館の壇上に上がる。


体育館の壇上から見る新入生、そして新入生の父兄達

俺はどうも今回の入学試験全教科満点だったらしい・・・

そういう事で新入生代表挨拶をする事になったらしい。


ザッと見て新入生300人、父兄500人合計800人って感じ?

右から左へと視線を這わせて、そんな人達を見回していた。


『朝見かけた金色のストレートの髪をした少女を捜す為に・・・』


金色の髪!!


金色の髪!!


・・・


1人・・


・・・・


2人・・


・・・・


10人・・


結構いるもんだな外国育ち!!


『チクッ』

う・・痛い


『居た!!確かにあの子』


金色ストレートの透き通るような髪


大きな薄青色の瞳


スーっと通った鼻筋


小さなピンク色のくちびる・・・


『やっばい~~超美少女じゃん!!』


彼女の姿を見つけた瞬間


俺の心臓が


『ドクンッ』


っと大きく跳ねる。

それと同時にその女の子が左手を胸の前に翳して、不思議そうに自分の手を見ているよう?


俺はそんな姿を見ながら、レクチャーされた例題にちょっと塩コショウを振りかけてユーモアもちょっと効かせた新入生代表挨拶をゆっくりと始めた。

「若い草の芽も伸び、桜の花も咲き始める、春爛漫の今日・・・・」


その後、在校生の歓迎挨拶が続き無事に入学式が終わり各教室へと散ってゆく。

俺は担任の先生の後に続き1年A組の教室へと入る。


其処で担任の先生の挨拶があり今日の予定を説明される。

今日はこの後ホームルームが有り其処で1年A組の生徒達での自己紹介の後明日からの予定を説明して今日は終わりって事らしい。


退院の先生の名前は


中山 さやかなかやまさやか先生

 35歳独身らしい・・・


「私独身だからね~~」

「恋人募集中だょぉ~」


ってやけに強調してたけど・・

『おい!!生徒を狙ってるのか?』

って正直突っ込みたい気分になってしまったぜ!!


そして自己紹介に進んでゆき・・・

あの金髪のストーレートの髪の少女の番


「クリスティーナ・クラーク 15歳です。父親の仕事の都合でアメリカから日本に


やってきました」

と短い挨拶。

その瞬間、俺の左手小指に


『チクッ』


っと痛みが走る。

そして同時にクリスティーナさんも自分の左手を見て不思議そうな表情?


そんな不思議な事が起こりながらも、無事に自己紹介や明日の予定の伝達が終わり今


日は解散。

父兄達と帰る人も居るのだろう。早速帰り支度をして教室外に出てゆく生徒達も多くいる。


俺はと言えば・・・

クリスティーナさんの行動が気になって無意識にクリスティーナさんの所まであるいて行って

「あのさ・なんか俺か告白しているみたいで言いにくいんだけど、小指の痛み・・・・・の事で話したい事があるんだけど一緒に帰らないか?」


と声を掛けていた。

声を掛けてから俺は

『俺~何やってんだよ~~見ず知らずの女の子をナンパ気味に声なんてかけちゃって


~~断られて当然だぞ!!俺どうしたら良いんだよぉ』

と猛烈に後悔していた。


クリスティーナさんは俺の言葉に



「えっ?」

って小さく悲鳴ぎみた声をあげ、あげかけた悲鳴を押し殺すように自分の右手で口を押さた。


「クリスティーナさんも・・・痛かったよね?」


驚くクリスティーナさんの大きく見開かれた薄いブルーの瞳を見つめながら、ゆっくりと言葉をかけて俺は確認する・・・


『コクリッ』

と無言で首を縦に振るクリスティーナ

まさかの俺の指摘に驚いて声が出なかったのだろう。


やっと意を決したように


「あな・・・たも・・・?」


と恐る恐る確認してくるクリスティーナ

俺はそんなクリスティーナに


『コクリ』


と首を縦に振る。

クリスティーナさん・・は・・

表情を見るに・・・

『俺を確実に警戒してるな!!』

そう俺に確信させる。


『何で声かけちゃったんだよ!!俺~~!!もう少し仲良くなってからでよかったじ


ゃんよ!!』

そんな悔やみ事今から言っても遅い!!


「はぁ~」


っと俺が深い溜息をつくと

そんな俺の気持ちを解ったのか


手の甲を口元に持って行って自分の口元を隠しながら

「くすっ」


っと笑った後


「私も少し気になる事あるから、松浦君と帰っても・・良いけどどうしますか?」


と可愛く小首を折って俺の顔を下から覗き込むクリスティーナ。

俺は思わず

「クリスティーナさんと帰りたいです」

と変な返答をしてしまっていた。


『じゃ~一緒に帰ろうか』

って言えばいいじゃんかよ!!

なんて言った後盛大に後悔


「テンパっちゃった?松浦君?」

って直球を投げてくるクリスティーナ

「もう~解ってるんならいじめないでよ~俺これでも女の子に自分から声掛けたことなんて初めてなんだからさ~」

「う~ん。そんな感じだね」

「解ってるじゃないか~」


それからは俺とクリスティーナは今日の出来事をお互いに話し合あいながら品川駅までの道のりを歩いていった。


それで解った事は、お互いに意識したり、見つめ合った瞬間に左手小指の付け根に


『チクッ』


っと針で刺されたような痛みが走る!!

そしてお互いに何故だか・・・


『今日初めて出会っただけなのに昔からお互いを知っている』          


                      

そんな懐かしい気持ちになる!!

クリスティーナも俺も同じだった。


そんな風にお互いの状況を話し合っているうちに・・・俺達2人は交差点の赤信号で止まった。

信号待ちのその間に



ググッっと距離を詰めて俺の顔にくっつきそうなくらい顔を近づけてきたクリスティーナが不意に

「私達の出会いは此れはもう運命だね。このまま私達付き合っちゃおうか?」

と突然の提案


そのクリスティーナの言葉に俺は一瞬で機能停止


『想定外のキャパシティーオーバーでフリーズ』


機械ならば、きっと蒸気が頭から吹き上がっていたかもしれない。


「まつうら・・くん?」


クリスティーナが俺にそう声を掛けた時、歩行者信号信号が赤信号が青に代わり


「ピッコン」


「ピッコン」


・・・


と歩行可能の盲人用の信号音が交差点に響く。

俺は

「付き合おう」

そう笑顔でクリスティーナに言葉を返す。

人生最高の瞬間だ!!

クリスティーナは早速青信号の横断歩道を渡りながら振り向き俺に手を差し出しながら


「じゃ~・・」


そう言いかけた瞬間



「キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキーーー」

信号無視の赤いスポーツカーが急ブレーキ音を上げ車体を横滑りしながら突っ込んでくるのが見えた!!


俺は咄嗟にその場を蹴ってクリスティーナの体を向こう側に一気に押飛ばす!!



一瞬見つめ合う



俺と




クリスティーナ


そのクリスティーナの薄青い瞳から大粒の涙がこぼれ落ちてゆく


俺とクリスティーナの左手小指から赤い糸が伸び繋がった瞬間


「ガシャーーーーーーーーーーーーーーーーン」


衝突音とともに俺の意識は消えてゆく・・・



つづく・・・

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