ある珍事

 2019/12/25のことでした。

 おばあちゃんが、エレベーターを使うわたしに、

「階段を使え」

と命令しました。



 おばあちゃんの価値観では、若者は苦労して大人になるもんだ、

かもしれない。でもその背景には、

「年寄りは物識りだし、苦労して経験値も高いから、大切にして社会に活かそう」

 という儒教の教えがあります。

 だけど現代においては、年寄りよりAIのほうが物識りで、経験値も高くなりつつある。

 そのうち、人に役立つ知恵もないような一部の人間の意見を聞くより、

 AIの意見のほうが効率的に社会を運営できる、

 という差別的な教えがまかり通るかもしれない。(会社はとくに、そうなりそう)

 いまのわたしだって、将来的に身体が弱って、介護されるようになれば

 「迷惑だ」という目で見られる運命にある(冷たいけど、現実だもんな)。

 知ってか知らずか、おばあちゃんは、

 自分は年寄りだから偉いんだと、

 威張り散らして、満足している。


 愛情の反対は無関心だそうですから、

 わたしに対して、いろいろ言ってくるおばあちゃんは

 わたしに関心がある、と言えるでしょう。

 わたしがラクをしたくてエレベーターを使ってるわけじゃないってこと、

 説明したかったけど、30秒ではムリでした。

 まあ、べつにいいです。

 エレベーターは、たしかにラクだしね(笑)


 自分も他人も、同じ人間。

 完璧じゃないから、許し合える。

 クリスチャンとして教育を受けてるわたしの対処法は、

 この手の攻撃に対して、笑っているしかないってこと。

 ふがいない、と周囲から思われるかもしれないし、

 弱虫とか優しすぎるとか言われそうだけど

 いいじゃないの、平和だったら。

 わたしが笑っていれば、いつかなにかが変わるかもしれない。


 「悪に対して、悪で勝とうと思うな。

 かえって善を持って悪に勝利せよ」(by イエス)


 叱られたからって反発せず、

 気の毒だと思ってスルーすることにしました。


 表面しか見ないのは、わたしもそうだからね。


詳細は、セルバンテスで「鈴宮とも子」名義で出してる、

「ある珍事――母を想う」を参考にしてください。



 


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