クリスマスの魔女
温媹マユ
1
「つきあってほしい」
えっ……
突然の電話で驚いた。
抱えていた枕が落ちる。
ドキドキしないわけがない。
急に何を言うの?
スマホを持つ手が震える。
ベッドの上に正座で座り直す。落ち着け、落ち着け。
大きな深呼吸を一つ。
「はい」
この一言を発するのが精一杯だった。
顔が熱い。喉が渇く。
「よかった。じゃ部室で待ってるから。練習相手、よろしく」
「れ、練習?」
今度はこめかみの辺りが熱くなってくるのが分かる。
沸々と湧き上がる怒り、何かを期待していた自分へのがっかり感。いろいろな感情が一気に頭の中を巡る。
少しでも何かを期待した自分が馬鹿だった。恥ずかしさでまた顔が熱くなる。
「じゃ、また後で」
プツッと言う音の後、ツーツーと無機質な音が続く。
スマホを持つ手の震えが止まらない。今までこれほど多くの感情が一度に押し寄せたことがあっただろうか。
「キィィィ」
スマホを持つ手を振り上げ、それをベッドにたたきつけた。
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