第06話【調査隊、出発】
無機質な白い天井にうつった金色の波模様に驚いて目が覚めた。
「……そういえばバーベンから帰ってきてたんだった」
ベッドから抜け出て、光を反射させていた
目を覚ますために水を飲みながら窓の外を眺める。
しばらく温泉に植物栽培など、バーベンで休暇を楽しんでいた僕らのもとに、ライ山火口の調査依頼がもたらされた。
少し休みすぎたくらいなので、早々に宿を引き払って第三十字街に戻り、警備軍がつくった調査計画に合わせて【白狼の聖域】の調査隊を組織した。
「出発までの時間に余裕はあるけど、いつまでも考えていても仕方ないか」
一階で食事し、その他諸々の準備をしている内に出発の時になり、拠点の屋上に調査隊参加者と居残り組の幹部が集まった。
行くのは十二名。
僕とリュオネ。
衛士隊からミワ、デボラ。
兵種長からジャンヌ、オットー、バスコ、エヴァ。
竜騎兵からアルバトロス。
そして、
「また留守番ですか!」
拠点屋上で見送ってくれる居残り組のなかで、クローリスが不満そうに叫んだ。
「あきらめよクロウ。三人の内だれかが残らねばならぬのだ。ザートが参加せねば皆が第五長城の外に出られぬし、魔人がでる地域にリュオネが不参加、というわけにはいくまい。スズとゾフィーのいうことをよくきくのだぞ」
最後の参加者であるコトガネ様が呵々と笑う。
「しかもなんでおじいちゃんがいくんです!?」
「おぬしと違って軽いからのう」
あおってるなぁ。
コトガネ様は普段からクローリスの事をからかって遊んでいる。
おちつきがない所が孫に似ている、という話だった。
本人たっての希望だけれど、魔物であるコトガネ様を連れて行くことについては迷った。
けれど、デメリットを補ってあまりあるメリットがあるのだ。
「クローリス、それくらいにあげてくれ。コトガネ様は神像の右眼に収納できる戦力なんだ」
言いながらコトガネ様を収納する。
一部を除いてあっけにとられる一同。
隠れて練習してたからね。
良い反応ありがとう。
「いつの間にそんな技をおぼえたんですか……」
驚愕の顔のままつぶやくクローリス。
「真面目な話、コトガネ様の元・牙狩りとしての魔人討伐の経験は貴重だ。仮に戦わなくてもアドバイザーとして加わってほしいんだよ」
『こうしていれば他の金級冒険者にも見つからないであろう? ま、一度もこちらの魔人と戦わずにいるのはしゃくなので結局でるがの』
小盾の中からコトガネ様が愉快そうに話しかけてくる。
「なるべくみつからないようにお願いしますね。しわ寄せが来るのは私達なんですから」
居残り組のスズさんとゾフィーさんが頭を抱えていた。
『ルゥオン』
「ごめんねビーコまたせちゃって…… ほら! 行く人はさっさと乗って! ビーコが待ちくたびれるでしょうが!」
オルミナさんの急かす声に追い立てられるように調査隊の十一人+αはビーコの背に乗り込んだ。
さすがオルミナさん。ビーコ第一主義はぶれないな。
――◆ 後書き ◆――
いつもお読みいただきありがとうございます!
後編はすぐに出しますので、おまちくださいませ!
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