第25話【クローリス、一人祝勝会(2/2)】
「堪能してるみたいね」
ちびちびとお酒を飲んでいるとミキさんがマスを片手にやってきました。
あの中はきっと熱燗でしょう。
「お、もう上がりです?」
「うん、あがっちゃうー。店締めまでは自由時間よ」
にひひと二児の母とは思えないかわいらしさでおちょこを差し出してくるので手元のチロリからお酒をついであげます。
「……おいし。寒くなってきたからお酒で身体をあっためないとねぇ」
「温泉も加わればなおよしです。この間バーベンに行ってきました」
ちょっとドヤ顔でいってしまう。
「えーバーベン! 良いなー。あれ? でもクロウちゃん銅級じゃなかった?」
驚いた後に小首をかしげるミキさんかわいいです。
「クランの業務で出張です。アルバトロスのビーコに飛んでもらいました。詳しくはいえないですけど、ここに来たのも同じ仕事なんですよ」
納得したようでミキさんはしきりにうなづいている。
「ああ、そういえばクロウちゃんは【白狼の聖域】の幹部だったね。グランベイのティルク街でも白狼の評判は上がりっぱなしよ。王国からのティルク人難民を受け入れているって時点で受けは良い上に、皇国軍人が入っているから強いし、真竜はいるし、なにより見目麗しい白狼姫が率いてるっていうのが大きいわね」
力強く語り出すミキさん。
そこに私の名前は入っていなくても悲しくないですし。
クランの収益面で一番貢献してるんだけど悲しくないですし
「あはは、リュオネ殿下は副団長なんですけどねー。団長のザートの噂って全然ないんだ。ざまぁー」
そうだ、私よりザートの方がよっぽど影うすいじゃないですか。
人をつかってばっかりで自分で外回りしないから噂にならないんですよ。
あ、でも私外回りしてるのに影薄いや……
とか思っていると、なにやらミキさん、ニヨニヨしてますね。
嫌な予感がします。
「ザート君はねぇ、めざとい女性冒険者に大人気よー」
うぇ!? そうなんですか!
「元々プラントハンターの名前は銀級冒険者には知られていたし、武器屋さんで殿下と大立ち回りしたでしょ? ひょろっとした見た目なのにやたら強いって注目されてたのよ」
あんまりな意外性に私も口をあんぐりです。
ザートって人気だったんだ、へぇ、へぇー。
「ま、殆どの子は白狼姫さまと一緒だからどうせ無理って憧れるだけらしいけどね。中には彼目当てでクランの入団審査に行く猛者もいるんだけど、なぜか抽選ではずれちゃうらしいのよねー」
あ、それリザさんとフィオさんがはじいてるんです。
あきらめてください。
なんて言えませんね。
「……でさ、クロウちゃんはどうなの? やっぱりお姫様にはかなわないってあきらめちゃうの?」
は? はぁ!?
「な、なにがですか! 私が何をあきらめるっていうんです!?」
大きな声のせいで他のお客さんに見られてる。
お酒が入ると調整できないね。
「えー、アンジェラちゃんの話じゃ、クロウちゃんとザート君がくっつくのもアリってギルドでは思われてるらしいよ? おなじパーティなんだから殿下は別格として、他の子より断然有利でしょ?」
みんな! なに勝手なこといってるかな!
「ありえないですよ! クランになってからザートは調子に乗ってるんです! 私に書類仕事や営業まわりとか押しつけて面白がってるんですよ? いじめっ子ですよ鬼畜ですよ!」
ぐいっとおちょこを空にするとたぁんと軽く机に打ち付ける。
「へー、ザート君って可愛い子はいじめたくなっちゃうタイプなのねー」
な……なんでそういう解釈に……
いや、でも浴衣で迫った時はいけそうな雰囲気だったし……
ラバ島でも水中で踊ってロマンチックだったし……
アリなのか? いやいやおかしいでしょリュオネいるんだよ?
「おーい。そのへんにしとけ。真っ赤じゃねぇか。またつぶれっちまうぞ」
あ、大将……お水ありがとうです。
「いやー私は早くに結婚しちゃったから、他人の恋路で楽しみたいのよ」
「楽しみたいって、ミキさんひどい! ひやかしなら帰って!」
「いやここ私達の店だし?」
しれっと返すミキさんにぐぬぬとなる。
「クローリスよ。まぁあれだ。ホウライ皇室は
大将……あなたもですか。
あ、まずい、お酒まわってきた。
――◆ 後書き ◆――
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