凍える満月の夜に
山蔭から発されるセピアのグラデーション
彼方の光を閉じ込めるための儀式
また今夜も人知れず
ついの空に凍えた月
鉄の心臓からのぼる汚れた蒸気
各々の棲家に帰るための葬列
また今夜も人知れず
ついの空に凍えた月
血脈から放たれるクリムゾンの嘘
数多の結晶を無碍にするための突破口
また今夜も人知れず
ついの空に凍えた月
バスタブから溢れ出る自分であったナニカ
今生の別れを惜しむための挽歌
また今夜も人知れず
ついの空に凍えた月
こんな凍える満月の夜に
ひとりきりで灯火を消して
ふとアナタを想う
それは甘いトロイメライ
こんな凍える満月の夜に
アナタとふたりでいた
あの日を想う
それは金色のフラクタル
ワタシはようやく起き上がって
また生き残ってしまったことを
未練がましくアナタに
生命維持装置としてのアナタを
ワタシは憎んでいるのに
こんなにも手放せずにいる
追憶のアナタとワタシの生命
こんなにも手放せずにいる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます