ありふれた悲しいお話。

月灯

彼女だった人。

 初めて彼女が出来た。告白は僕からだった。私も好きだったんです、と言われた時嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。いつも、彼女の事を考えて、友達からはまた惚気かよ、と言われてた。

 デートにも何度も行った。遊園地、水族館、オシャレなカフェ、彼女の行きたいところ全てに行った。ありきたりでも楽しかった。インスタにも、お互いにたくさんの投稿をした。ストーリーのアーカイブにもたくさん残ってる。

 いい男を演じたんだ。どんな時でも優しく、デート代も出した。しょうがなくとか、男が払うべきとかじゃなくて、君に嫌われることが嫌だったから。

 彼女のアカウントを見ると、僕との写真のアイコンから真っ黒の画像に変わってる。投稿も全部消えてる。アカウントの名前は、

【使ってません。】

 ごめんね。何が悪かったのかも分からない。僕が何をすべきだったのかも分からない。ただ、さよならって言葉と、別れよって言葉がいつまでも耳に残ってる。用意したクリスマスプレゼントは想い出と共にゴミ箱に捨てた。

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ありふれた悲しいお話。 月灯 @tsukiakali

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