第35ニャ【嫉妬猫ニャ】


 非常に不愉快極まりニャい


 犬め、すばりにべたべたとくっついて、ぬ子があんニャにスリスリしたら怒られるのに


「やいやい、犬! すばりから離れて自分で探せニャボケちん!」

「キュゥン……猫さんこわいです」プルプル


 ふん、犬なんて嫌いだニャ

 それニャのにすばりは犬のプルプルに惑わされて優しくするんだから、おとこってほんと信じらんニャいよ

 ぬ子に……ぬ子にあんニャことしておいて

 裸も見たくせに、


「か、かわいこぶりするニャ! それに猫じゃニャくてぬ子ニャ!」

「ぬ、ぬ子、さん……うぅ、すばり、はぬ子さんこわいです〜」プルプルウルウル


 呼び捨て!? こんの雌犬ーーっ!!


「君はちぃというのか。心配するな、ぬ子はそんなに悪い猫じゃないぞ? ちゃんと骨の捜索も手伝ってくれているだろう?」

「そ、そうですか〜?」じーっ……


 すばり〜! ぬ子のこと愛してるって? 照れるニャンそんニャ突然っ……って、犬の目が一瞬光をうしにゃったのをぬ子は見逃さニャいよ!?

 コイツ、確信犯だニャ!!


 すばりは騙されているニャ。あの犬、弱そうに装って雄を誑かすとんでもニャい犬だ

 今ここで、息の根を……って、これは……


 ぬ子の視界、極めて低い位置、即ち地面の草むらに、骨、発見したニャ


 すばりと犬は気付いてニャいみたい


 ぬ子、嫌ニャおんにゃだよニャ

 でも、ぬ子のにゃかの嫉妬心は抑え切れず


「おーい、ぬ子? エナジー補給の為に少し休憩するぞ〜?」

「わ、わかったニャ!」


 ぬ子は、肩に下げた鞄に骨を隠してしまったニャ

 おっ○いがドキドキする……



 ぬ子達は少し開けた場所で軽く食事をすることに

 すばりが取り出したパサパサ菓子を頬張りニャがら犬を睨む。まだすばりにべたべたと

 その時だったニャ。すばりの頬に菓子のくずがついてることに気付いたニャ

 ぬ子すかさず肉球を伸ばしたニャ

 それニャのに犬が先にカットインしてきたニャ!


「すばり、頬っぺにお菓子ついてるよ〜ペロペロ」



 ペロペロ、だとぉぉぉっ!? ニャ!

 犬が、いぬ、いぬいぬっいっぬ、が! ぬ子のすばりをペロペロした

 すばりはくすぐったそうにしてるけれど、抵抗なしニャい。ぬ子がしたら、ぶっ飛ばすくせに、犬のペロペロは受け入れるのか


 すばりの、


「す、すばりのボケちん! えっち! うわきものぉぉぉーー!!」


 VIVA四足ダッシュ!!

 ぬ子のすばりが奪われたーーっ! すばりニャんて嫌いだニャ。もうぬ子一人で下克上をにゃし遂げるもん!

 そこで二人でずっとペロペロしてればいいニャ!

 ペロペロ、

 うぅぅ〜っ、



「ニャァァァーーーーーー!!」



 お母ちゃん、ぬ子、傷ものにされたニャ

 人間に弄ばれてポイされたニャ

 きっと猫神様のマタタビをポイしたからだニャ


 無我夢中、一目散に森を駆け抜ける

 するといつの間にかすばりの声も、犬の声も聞こえない遠くまで来てしまったニャ


 独りぼっちニャ……





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