第11ニャ【すばりとデートするニャン】


 すばりはコタツに入っても尚、震えているニャ


「すばり、寒いのかニャ?」

「我の装備は学生服、それも夏用だからな。つまり、向こうでは夏だったのだ」

「にゃつ?」


 すばりはぬ子ににゃつの事を教えてくれたニャ。すばりの住んでた日本という世界には四季って呼ばれる季節があるみたいニャ

 春、にゃつ、秋、冬、ぬ子達の町は冬に相当するらしいけど、ぬ子は春を体験してみたいニャ。理想のお昼寝季節だもん


『しかしお主、ここから桃源山に向かうとしてもその格好ではいかんじゃろ。暖を取れる服が必要ではないか? 旅が始まれば過ごしやすい場所や暑い場所も通るが、雪の降るここら一帯の為に上着くらいは必要じゃろ』

「しかし、そんなもの何処で?」

『町で調達する他ないじゃろうな。ほれ、この猫銀貨をくれてやるから、ぬ子と共に上着でも買って来るのじゃ』


 猫銀貨!! 猫神様スゲ〜!!


「猫神様! ぬ子にも!」

『お主は暖かそうな上着着とるじゃろが。しかし、まぁ一枚だけやるか。これで何か食べるなりして来るが良いじゃろ。パートナーとして絆を深めるのも大事じゃからな』

「わぁーい! 猫神様だーい好きニャン!」

『こ、こら、スリスリせんでいいわ!? わ、儂は一人の時間が欲しいだけじゃわい!』

「もう〜、ツンデレニャんだから〜!」


 猫銀貨を数枚手にしたすばりは、それをズボンのポケットに入れて徐に口を開いたニャ。


「ならば行くか。ぬ子、町を案内してくれ」

「ニャ、わ、わかったニャ!」


 あれ? これ、もしかしてぬ子の初デートかニャ?

 にゃに変ニャ事考えて……ただ、上着を買いに行くだけニャ

 でも、町に人間連れてって大丈夫かニャ?

 ま、みんにゃ他人の事は気にしニャいだろうし、大丈夫かニャ。そうと決まれば行くニャ


『町に着くまでは儂の力で寒さを軽減してやろう。時間制限があるから早目に上着を調達するんじゃぞ? ニャンニャン、ニャンダルフォン!』


 猫神様のかけ声可愛いニャ〜


「お、身体が熱く……こんな事が出来るなら毎日してくれれば良いものを」

『これ、疲れるんじゃからな? ほれほれ、しっしっ! 儂の休日を邪魔するでない、とっとと行って来んか』


 猫神様、いつも休みでしょニャ

 ま、ぬ子もだけど。とにかく今は町に急がニャいと。すばりがホカホカ状態の内に

 こうしてぬ子とすばりは町へ向かったニャ


 ——


 町はいつも通り、外に仔猫ちゃん達が数匹遊んでるくらいで殆どの猫はコタツで丸くニャってるニャ


 確か服屋さんは町の奥にあったニャ。お母ちゃんに見つかったら大変だし、端っこの方を歩いて大まわりする事にするニャ


「おいぬ子、何故そんなにコソコソするのだ?」

「べ、別に大した理由ニャんてニャいし、い、いいから黙って付いて来るニャ」


 よくよく考えてみたら人間を連れて町を歩くとか、かニャりの高難易度こうにゃんいどミッションじゃニャいか


 猫神様の貸してくれた特殊アイテムを装着させたのはいいけど、すばりはにゃんとも思わニャいのかニャ?


「すばり、恥ずかしくニャいのか?」

「む、何がだ?」


 いやいや、その格好だニャ

 頭に猫耳バンド、お尻に猫の尻尾、勿論造りものニャけど、それを装着して平然としてるという

 まぁ、すばりが変人ニャのは今に始まったことじゃニャいんだけどニャ


「くっくっく、どうだ? 似合っているか? 黒い髪に合わせて黒猫仕様を選んでみたのだが」

「悔しいけど似合ってるニャ……というか、にゃんでこんニャ物を取り揃えてるかニャ、猫神様ってにゃぞだニャ」

「くっくっ、謎多き女性は魅力的ではないか」


 ニャ、すばりは熟猫好きかニャ? 謎、か

 ぬ子にはにゃぞ要素ニャんて……

 すばりの横顔を見上げてみる。すると、すばりは眼鏡とかいう魔道具の位置をクイッと調整しニャがら、ぬ子に道案内をうにゃが


 その時ニャ——







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