第10ニャ【主従関係をはっきりさせるニャ】



 お尻がヒリヒリするニャ〜


 結局、あの後帰ってからお母ちゃんにお仕置きされたニャン。内容は言うまでもニャいよね


 あれから三日、ぬ子は外出を禁止されて今に至るニャ。あの人間、——確か、すばりは猫神様の所で寝泊りしているニャ。逃げられると困るし、町に来いと言ったけど、猫だらけの町には流石に行けニャいと断られたニャ

 ——断固として断る! ってニャ。ムカつく


 ぬ子のパートニャーが猫アレルギーって、それ、不便過ぎニャいか?

 べ、別にっ、ぬ子はすばりの事ニャんか気にかけてニャいんだからニャ? と、その時、部屋のドアが開いたニャ。そこにはお母ちゃんが居て、やれやれと言った顔で頷いてくれたニャ


 お許しキタニャ!

 ぬ子はお母ちゃんに全力のスリスリをして喉を鳴らし、雪の舞う外へ飛び出したニャン。猫の愛情表現ニャン!

 やっぱり、外の空気はいいニャ〜、ついつい四足ダッシュしちゃうニャ


「あー、ぬっこだー!」

「ぬーこ、ぬーこ、遊んでー!」


 お、仔猫ちゃん達〜! やっぱりお姉ちゃんのぬ子がいニャいと寂しいんだニャ〜、可愛い奴らだニャ〜よしよし

 そうだ、今度ミカンを持って帰ってこっそりあげよう! でも、その前に、


「仔猫ちゃん達、ぬ子の事は、お姉ちゃん、と呼びニャさい。それと、ぬ子は十二支レースの準備で忙しいニャ、遊ぶのはぬ子が優勝してからニャ!」

「じゅーにしれーす?」「ゆーしょー?」

「そうだニャ! ぬ子が神様の門を開いて来るニャ! 猫が十二支の頂点に立てば、この寒い雪山ともおさらば出来るニャ。暖かい陽気に当てられニャがら昼寝をするのも夢じゃニャいんだ」


 と、ぬ子が仔猫ちゃん達とはにゃしていると、またあの雌猫おんにゃの声が垂れた耳に飛び込んで来たニャ

 不快だけど、声のする方へ向き直ると、そこには意地悪な猫、シャムがガクブル震えニャがら立っていたニャ

 寒いニャら、わざわざ出て来るニャよ


「あーら、お子ちゃまサイズのぬ子じゃな〜い? こんな所で何をしているのかしら? あ、ごめん遊ばせ〜ですの〜、お友達、と遊んでまちたか〜? おほほほ〜」

「ぬ、ぬ子はお子ちゃまじゃニャいもん!」


 ぬ子は後ろにいた仔猫ちゃん達に同意を求める為に振り返ったけど、そこには既に仔猫ちゃん達はいニャかったニャ。ぬ子はやけに身体を絡めてくるシャムを振り解くニャ

 コイツ、寒いのかニャ?


「にゃっしっし〜! お子ちゃまはお前ニャ、シャム!」


 ふふふ、何故にゃぜなら、


「シャム、お前はまだ初めてを捧げてニャいニャ! ぬ子は先日、パートニャーと初尻尾ファーストテイルを経験してきたんだからニャ!」ドヤァ!


 ニャ、にゃに言ってんだろニャぬ子


「にゃんですってぇぇっ!? あ、貴女っ、ど、ど、同性とっ……そ、そんな、ことっ、へ、へ、変態ですわぁっ!?」


 あ、しまった。にゃにか勘違いなされてるニャ。早目に訂正しニャいと


「同性じゃニャくて、相手はおとこニャン」

「にゃんですってぇぇーーっ!? お、おとおと、お、と、こ!? お子ちゃまロリボディなぬ子がわたくしより先にっ、フ、フ、初尻尾ファーストテイルをっ!?」

「いや〜、突然覆い被さられて焦ったけど、凄かったニャ。にゃんというか、言葉に出来ニャい感じが……腕も押さえられて身動きも取れニャかったし」

「ち、ちょっ……そ、それって……貴女、もしかして無理矢理……そ、そうでしたのね。それなのに……こんなに明るく気丈に振る舞って……か、可哀想なぬ子、き、今日のところはコタツで丸くなってさしあげますわ! も、もし辛い事があったら、わ、わたくしの隣を空けておいてあげますわーーーーっ!! うニャァァ〜ン!」


 あ、行っちゃった。にゃんで泣いてたんだろ? ま、シャムの事ニャんてどうでもいいニャ。早くすばりの家に行くニャ!


「四足ダッシュ荒野行動こうにゃこーどー!」


 ——


 雪の積もった郊外を四足ダッシュで駆け抜けたぬ子はいつもの洞穴を発見!

 飛び込んでとりあえず挨拶をしたニャ。


「すばりの家に到着ニャン!」

『いや、ここ儂の家な』

「す〜ばり〜! 三日ぶりにご主人が会いに来てやったニャ〜!」


 ぬ子は思わずコタツで丸くなっていたすばりに全力スリスリを炸裂させてしまったニャ

 すばりは顔を真っ青にして逃げようとするけど、猫の愛情表現ニャんだから仕方ニャいよね〜!


「ぐはぁっ!? お、おいっ! 我は猫アレ……や、やめ……くっ、い、致し方あるまい、こ、こうなったら!! とうっ」

「ふっ、ふニャァァッ!?」とろ〜ん


 ニャ、にゃにが起きたニャ?

 突然頭がポワァーッてニャって……って、マタタビ!? ふニャァァ〜ン


「ふぅ、油断も隙もない。しかし、くっくっく、我の魔道具、マタタビを使えば猫なんぞ赤子をあやすも同然! どうやら、ご主人は我のようだな、ぬ子よ! 久しぶりに会えて嬉しいぞ! ははは!」

『それ、儂のマタタビじゃし。というか、お主一応嬉しいのじゃな』

「無論だ。運命の巡り合わせで出会った我等だからな。さ、我のコタツに入るがいい」


『じゃから儂のコタツな』


 ——



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