3/4 「You Know You Want This」、あと三月三日はひな祭りという気がしない。

 なぜなら私の地元では旧暦に合わせてなのか、四月三日にお雛様をだしていたから。ひな祭りとは春爛漫の時期にやるものだと、体の中にある暦がそうなってるのですよね。

 そのせいもあったり、今我が家に女の子がいないこともあって昨日のひな祭りはただの平日として過ぎ去りました。……風情が無い。ちらし寿司くらい食べてもよかったのかもしれない。

 

 でも、花が咲き乱れる時期にやるひな祭りはほんとうに「桃の節句」という感じがしていいものですよ? 



 話は変わって……。


 最近気になった言葉が一つあります。それが「You Know You Want This」、この前まで読んでいた『キャット・パーソン』の原題です。意味は「これが欲しかったんでしょ」になるそうな。


 解説、およびこのnoteの記事(https://note.com/kankanbou_e/n/n20bf686823a8?magazine_key=m7a6f6213da27)によると、表題作「キャット・パーソン」のバズによって「フェミニズムのバイブルや、ほろにがくもおかしい〝あるある″たっぷりのリアリズム作品集」を期待した読者の欲望を多分に挑発したものになるということ。なにしろ収録作は時にマジックリアリズム的な手法を用いた入りする、ホラー風味の短編集だったのだから。


 これが欲しかったんでしょ、といいながら、受け手が欲しかったものとは全然違うものを送り出すところ、控えめに言って格好いいですね。素敵です。もはや内容の出来不出来よりも、その姿勢の方が格好いいというかなんというか。


 ――と、この言葉に心惹かれたのも前にこのエッセイで語ったように、「web小説は読者の欲望に合わせてナンボ」な発言が引っかかって仕方なかったからでしょう。本当にもう、ここまで引っかかるということはこのイムズとは根っから相容れないのだと考える他ありませんよ。だってねぇ……お金が入るでもなく、表現欲がおさまり運が良ければ承認欲求も多少満たされるだけの創作活動に、マーケティングとかしてどうすんだって思いませんかね……。私は思う方なんですよ。

 書籍化を目指していたり人気者になりたければそういった意見に傾聴すべきでしょうけれど、私はそれより私の思うものを書きたい欲が先にくるんですよ。

 

 大体マーケティングとか、ウケる物語を書けるセンスがあれば、小中高時代に作文であんなに悩みませんでしたよ(いますよね、大人になってもSNSで「先生にウケるものが書けたから作文は得意だった」とか自慢する人。「本読むのが好きだったから国語のテストで苦労しなかった」と並ぶ、本好き自認の大人がやりがちな鬱陶しい自慢の両巨頭ですよ)。

 

 そもそも、自分はこういうものが読みたいんだ、そこからはみ出したものは読みたくないんだとばかりに、範囲限定して読むものを探すのってたのしいのだろうか? 楽しいのならいいんだけども。


 ともかく、「自分には読みたいものがある。その期待を裏切るものは読まれなくて当然」という論調に「You Know You Want This」といって全然違うものを提供する姿勢は見習いたいなと思ったのでした。



 ――こんなこと書くと、やたらと書き手とかクリエイター側に対してものわかりのいいヤツみたいになってしまいますが、自分が読み手や受け手に回ると手のひらくるっとひっくり返してしまうヤツでもありますよ、私は。

 細田守のアニメ映画なんて、テレビで見るたびにいっつも「ショタから壮年まで魅力的な男性を描けるという絵難い才能をどうして有効活用せずに、魅力の薄い少女がやたら出張る家族が主題のアニメ映画ばかり作って世間を無駄にざわつかせるのか」って文句ばっかり言ってますよ。



・アニメの話……

 せっかくアニメを好きなだけ見られる文明の恩恵に預かれる身になったので、見たアニメの感想などもちょくちょく交えていくことにします。


 そんなわけで、「ブラックラグーン」のロベルタ回を視聴しました。ロベルタの中の人は、「クレヨンしんちゃん」のまつざか先生だったんですね……。ちょっとびっくり、でも素敵でした。素敵といえば、ガルシア坊ちゃんの声も伊倉さんで、育ちのいいまっすぐな少年という雰囲気がぴったりでよろしかった。声優さんが豪華なのも見どころですよね、このアニメ……。


・本の話……

 宮澤伊織『裏世界ピクニック4』を読んでました。ホラーなノリで始まったらと思ったら、お泊り会、温泉旅行、二人きりでキャンプなどやたらと濃厚な百合回が連続で畳みかけられて非常にびっくりしました。アップダウンの激しい回でした。

 このシリーズは裏世界を二人の女子が呑気に冒険する箇所が楽しくて好きなので、このノリを維持してほしいものですが、楽しい時間はいつか終わっちゃうものですしね……。この巻が楽しかっただけに今後の展開を思ってちょっと不安になったりもしました。これまでよりも怖いことが起こりそうで。

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