ソシオパス

瀬戸美鈴

出会い

〝セフレになってくれませんか?〟


 私はマッチングアプリで繋がった複数の男にメッセージを送る。

 男たちの返事は決まってイエスだった。


〝ぜひぜひ〟

〝俺なんかでよければ〟


 男なんてみんな性欲の塊しかないんだから、なんて思いつつも、私はそうやってメッセージを送り続けた。


〝ごめんなさい、セフレにはなれません〟


 いつもと違う返信が画面に表示される。

「誰だろう」

 気になった私はメッセージを送った人のプロフィール画面を開いた。


 彼のプロフィールは充実していた。自撮りの写真が何枚か載せられていた。一目でわかるほどの容姿端麗な彼に、私の胸が高鳴る。詳細を見ると、彼は二十三歳で、高身長、物流の仕事をしており、音楽が好きであることがわかった。


 二十歳の私と三つしか違わないはずなのに、なんだかとても大人びている印象だった。


〝じゃあ友達になってくれませんか?〟


 私はただひたすら彼からの返信を待っていた。他の男からいくつも返信が来ていたが、もうそんなのどうでもよくなっていた。私は彼に夢中になっていたのだ。


〝それならいいですよ〟


 彼からきたそのメッセージに返信しようとすると、続けて彼からメッセージが届いた。


〝よかったら今日会えませんか?〟


 もちろん私の答えはイエスの一択だったが、明日の朝、大学の講義が一限から入っていたため、明日は朝が早いのでと泣く泣く断りの返事をした。すると再び彼からメッセージが届いた。


〝じゃあ明日はどうですか?〟


 明日は学校があったが、明後日は休みだったため、学校が終わってからなら会えると返信した。こうして、私は彼と明日会う約束を取り付けることができたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る