第95話

 メテオストライク。

 最強の攻撃魔法は、ダンジョンの中では使えなかった。

 隕石召喚だから空の下でしか使えないのかもしれない。


 異世界クソ仕様!!


 まぁ『ギガント・クエイク』と『ライトニング・プラズマ』は使えるので、ダンジョン攻略中はこの二つのレベルを上げよう。


「ふぅ。このダンジョンはモンスターの数が多いわね」

「数は多いですけど、何故ここのモンスターは動かないのでしょうか?」

「固定タイプなんだろう。僕がプレイしていたゲームのダンジョンって、こんな感じなんだよ」


 一定の範囲にプレイヤーが入れば襲ってくる。でもその範囲に入らなければ襲ってこない。故にスルーすることも出来た。

 レベル上げが目的なので、全部倒していくけどね。


 そして一匹が向かってくると、それと紐づけされているモンスターもやって来る。

 中には増援がふっと湧くことも。


 異世界仕様のダンジョンだと、モンスターがどこにいるか分からない。全く遭遇しないかと思えば、どこかに大量に湧いていることもある。

 そんなときはちょっぴり死を覚悟することだってある。その上、頑張ってモンスターの群れを殲滅したあと、じゃあ次にどこに湧く? っていう状態に。

 モンスター探してうろうろしている時間も結構多いんだよね。


 インスタンスダンジョンではそれがない。

 まるで警備兵のように、一定間隔でモンスターがじっとしている。中には巡回しているモンスターもいるだろうけど、一階部分ではまだ見ていない。

 何よりインスタンスダンジョンの良いところは、引き返す必要がないこと。

 先に進めばモンスターがいるのだから、前進あるのみだ。


 そして疲れれば──


「ちょっと休憩入れる?」

「そうね。喉乾いちゃった」

「じゃあ準備するですの」

「ステータスも確認しておこう。上がったかな?」


 モンスターが移動しないので、安心して休憩も出来る。

 インスタンスダンジョンって、ほんといいよねぇ。






 一階から二階に下りる階段を見つけると、そこに『ガーディアン』という名前のモンスターがいた。

 レベル75というのもあって、それほど苦も無く倒せたが、経験値は良かったようだ。

 道中で一度確認した時にはそれぞれ一つ上がっていたけれど、ガーディアンを倒してからまた一つ上がってる!


 いいねいいね、インスタンス。

 じゃあステータスの振り分けっと。

 魔力を100まで上げてから、今は詠唱に上げてて──これが50になったら魔力を120にして、その後はどうしようか。

 魔導師の時には回避に振ってみたけど、恩恵はさっぱりだった。やっぱり肉体かなぁ。

 受け身型より回避型のほうがカッコいいんだけども。



****************************************


 名前:タック 種族:人族 年齢:18

 職業:エターナル・ノービス

 レベル:75


 HP:1629+175 MP:5040+500


 筋力:1

 肉体:3+11

 回避:4

 命中:1

 敏捷:2+10

 魔力:105+34+105

 詠唱:34


 ステータスP:3

****************************************



 え……ちょっと待って!?

 に、肉体3??????


 え、まさか僕……


「ステータスポイント振り間違えてる!?」


 嘘だ嘘だ嘘だ。しかも回避や敏捷まで振ってるじゃないか。え、いつの間にこんなことに?

 よく見たら魔力も100超えてる……待ってこれ……計算が合わない。

 ステータスポイントはLV19まではLVUPで+1。20から49までは+2。50から先は+3される。

 おかしい。ポイントの計算が合ってない。


 なんでこんなことに?


「どうしたですのタックさん」

「急に大きな声を出して、ビックリするじゃない」

「ご、ごめん。なんか勝手にステータスが増えているんだ」

「勝手に、ですの?」

「そう! そうなんだっ」


 あぁっ、これでステ振り失敗したとかなったら、目も当てられないっ。

 そうだ。ステータスリセットの課金アイテム!!


「タック、ステータスってレベルが上がると勝手に上がるんじゃなかったの?」

「私たちのステータスはそうだって言ってましたですの」

「うん。君たちはこの世界の住人だからね、それが普通……まさか」


 まさか僕も異世界仕様に!?

 でもステータスポイント+3はちゃんとある。僕だけ異世界仕様とゲーム仕様、両方になってるってこと?

 次のレベルアップでどうなっているか、調べてみよう。






 そして二階からは巡回モンスターが出るようになった。

 常に二体がセットになっていて、索敵に引っかかると周辺の固定モンスターもわらわら来るように。


「最初は焦ったけど、一階の状況に二体増えた程度と考えたらそうでもなかったね」

「ですの~」

「寧ろもうちょっと多くでもいい感じ」


 ここでも下へと続く階段前にガーディアンがいた。

 レベルは78。

 倒してステータスを倒すと、アーシアとルーシアのレベルが78に。僕は76になっていた。

 二階ではガーディアン含めてレベル一つずつか。


 ステータスを確認すると、75の時には振らなかったポイントに合わせ、ステータスポイントは+6に。

 なのに魔力や詠唱、そして何故か肉体は微増している。


「やっぱり僕はこの世界仕様とゲーム仕様、両方が合わさっているんだ」


 メテオもそうだった。

 異世界仕様とゲーム仕様の両方だってのはいいけれど、ゲーム仕様のほうが消えてなくなってしまったら困るな。

 課金アイテムとか、そういう面で特に。


 まぁ考えたって仕方がない。その時はその時。

 課金アイテムはこの世界の住人でも使えるんだ。需要のある物はまとめ買いして、アイテムボックスに入れておこう。


 ガーディアンを倒して三階へと下りると、敵の数が一気に増えた。


「ルーシアがもうちょっと多いでもいいって言うからですのぉ」

「こ、こんなに多くなくていいわよ!」

「アーシア、僕の方に走ってきて!」

「はいですの~」


 十体のモンスターに囲まれていたアーシアを呼び寄せ、タイミングを合わせて『ギガント・クエイク』を発動させる。


「この階ではこのやり方の方が早いかもしれないな。かき集めて一つにまとめたら、僕が大魔法でドーンって」

「でも賢者の魔法って、くーるたいむっていうのが長いんじゃないの?」

「うん。まぁ賢者スキルじゃなくても大魔法はあるから大丈夫だよ」


 とはいえ、MP消費の激しい大魔法の連続使用はなかなか厳しい。

 MPが枯渇すればそこで終わりだ。

 ってことで、ポーションがぶ飲みで頑張ります!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る